カテゴリー「音楽」の記事

SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOWにヤラレタ。

CORNELIUSが好きです。
とくに近年の「POINT」と「SENSUOUS」はすごく好き。

私にとっては、昔坂本龍一さんが「B-2 unit」でやろうとしていたことの延長線上にこのサウンドはあります。
すなわち音楽の「脱・構築」(古いかw)。
まだ「B-2・・」の頃は時代が熟していなかったせいでしょうか「なんかアバンギャルドー」で片付けられてしまった感がありますが、CORNELIUSのすごいところはちゃんとPOPに昇華しているところ。
この二つのアルバムはほんとにソリッド!しかし和音の構成とその出しどころが絶妙で、流れるように軽妙にも聴こえてきます。とにかく大好きな音。
その2つのアルバムからの選曲がメインで行われた08年のツアーを収めたのが、この標題のDVD「SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW」です。09年5月についに発売されました。(ネットで買ったら市価より千円近く安かったw)
照明、映像と音がかっちりリンクした、まさにDVDならではの味わいです。(ライブはもっと良かっただろうなあ)
全編見てて気持ちいい。あちこちのWebには「オープニングが最高!」ってありますが、これはその場にいたら確かに鳥肌モノだろうけど、DVD画面ではイマイチ・・・。私としては「Point of vew」が特にいいなあ。

ただしサウンドに関してはアルバム(CD)とは別物、です。そもそもアルバムとこのDVDとは楽しみ方が違う、ということなんでしょうね。私はサウンド自体は断然アルバムが好きですが、こちらは視覚&聴覚芸術として素晴らしいです。

Dvd 写真はこのDVDジャケットなんですが、会場の椅子にテーマカラーのカバーが掛けてあり、もう会場自体がエンタテインメント!このあたりの発想は広告でいう「タッチポイント」とか「スモール・アイデア・ポートフォリオ」を先取りしているのでは、とは穿った見方かw。

そもそもこのアルバムのソリッドな感じをライブで表現するのはかなり無理だし、あんまり意味がないことに思えますしね。
その前提でDVDなりに音も楽しめます。特にドラムがすごい。あらきゆうこさんという女性ドラマーですが、この叩き方が「女ユキヒロ(当然高橋幸宏さんのこと)」を彷彿とさせます。特にシンバルがすごくいい響きで刻んでます。知らなかったのですが結構業界では有名で(あらきさん失礼しました)、プラスチック・オノ・バンドでもドラムやパーカスでサポートされているとのこと・・・。なるほどなあ。

このところ何回も夢中で見てます、このDVD。
これ見てから2つのアルバム聞き返すとまたこれがいいんだ、うんうん。
ちなみにこれらの映像は辻川幸一郎さん。CORNELIUSといっしょにユニクロのこんな作品も作ってます。

SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW [DVD] SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW [DVD]

販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2009/05/13
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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ジョアン、来日ならず・・・。長生きしてね。

ボサノヴァの神様・ジョアン・ジルベルト。本当は11月に公演の予定でしたが、ぎっくり腰のため公演延期、
12月13日、14日という日程になりましたが体調が回復せず結局「ボサノヴァ生誕50周年奇蹟の来日」は中止となってしまいました。
うーん。かつてないくらいのいい席(前から9列目ど真ん中)だっただけにやりきれない・・・。
でもご老体ジョアンの体調が一番ですからね。
気にせずなんとか全治してもらいたいです。
しかしこのメッセージ読んだときにはちょっとウルっと来ちゃいました。

というわけで、
Dvc00236 公演が行われるはずだった13日には、やらないとは解ってても東京国際フォーラムに行っちゃいました。まあ、ある意味歴史的瞬間ですからね・・・・。
長生きしてほしいと思いつつも、やっぱり凹むよねぇ。
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低カロリーグルーブ!?YMOの欧州ライブCDゲット。

510394154_123s 510qfsp7bml_sl160_aa115_  今年6月に行われたイギリス・ロンドン公演とイタリア・ヒホン公演を完全収録したアルバム入手!CD屋さんで予約するとき「HASYMOのライブを・・」といってお願いしたらひどく時間がかかってしまいました。「お客様、YMO名義でのライブなら発売の予定があります」
おおぅなんとこのライブは「YMO」だったのか!と予約時から気合120%!
ってくらい楽しみにしていたわけです。
さっそく聴いてみました。
いい。
YMOは結成が1978年ですからちょうど30年前。この「現役」のころの音と頭の中で比較しながら聴くのも一興です。
なんというか、音数が厳選されていて、でも構造(坂本節のコード感とやんちゃな感じのリズム)はすごくしっかりしていて、昔と比べるとスケルトンなかんじ。おとなしいんだけど、体の芯が踊ってしまうようなかんじ。
80年代以降のポップスのフォーマット(ストリングスやブラスをぶわっと厚くかけたりとかね)とは全然違う方向のグルーブがあるなあと思いました。表面的な熱さとか装飾することのない、なんか「低カロリー」なかんじとでもいうのでしょうか。
じんわりとカッコいい音。幸宏さんの生ドラムも楽しいです。
オリジナリティってこういうことを言うんだよなあと納得させられるような完成度の高さ。
YMO「現役」のころからここまで来ちゃったかこのお3方は・・・。

31pwfxbgxil_sl500_aa240_来年はDVDも出るそうです。このステージはライティングも最高らしい(コーネリアスのライブのライティングみたいなのを想像)ので、楽しみです。

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昔の自分に会ったら教えてやりたいこと

5216900021_170 今朝の通勤ランダム再生、新橋から会社に歩くまでに掛かったのはフリッパーズ・ギターのCoffee-Milk Crazy(89年「three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった」)。

パーフリは「ヘッド博士の世界塔」が最高傑作の誉れ高いですが、このファーストアルバムも違った意味で最高。当時欧州で流行ってたネオアコをきっちり日本でキャッチして消化してます。可愛らしく若々しい、とでもいいましょうか。ある意味オトメちっくな感じで。
「ネオアコ好き」な私に当時の会社の先輩が「フリッパーズギターって絶対イイから聴いてみ」とリコメンドしてくれて、早速銀座ヤマハに買いに走りました。すごく気に入って毎日聴いてましたねー。
当時の自分は青かったなー・・・あの頃の自分に会ったらいろいろ教えてやりたい。
・・・って何を教えてやれるんだろう??
うーん、仕事のこと。
日常生活のこと。
美味いもののこと。
人間関係のこととか恋愛のこととか・・・。
あ、結構教えてあげることたくさんあるかも。
それをちゃんと聞くかどうかが問題だが。

なんて考えて歩いてたら、ちょうど当時勤めていた会社のビルの前に出ました。当時と変わらぬ風貌のこのビルから、昔の生意気な私が出てくるかも・・・なんて妄想してるうちに、次の曲tahiti 80のpuzzleの再生。さ、今の職場に向かいましょう。

Three Cheers for our side ~海へ行くつもりじゃなかった Three Cheers for our side ~海へ行くつもりじゃなかった

アーティスト:Flipper's Guitar,小沢健二
販売元:ポリスター
発売日:1993/09/01
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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25年前の3月は...「君に、胸キュン」

私のポータブルミュージックプレイヤー(iPODでないので敢えてこう書くw)には、1/3程度のシェアでYMOが入ってます。
今朝全曲ランダム再生(iPODでないので敢えてシャッフルといわないw)で聴いていたら、1981年3月21日に発売された名アルバム「BGM」に入っている「カモフラージュ」が掛かりました。27年前(!)のちょうど今頃の季節です、この衝撃の音を初めて耳にしたのは・・・。むーん、それにしても27年前にこんなことやってたのかーこの人たちは。すげえなあ。
数曲ボサノバや環境音楽(!?)をはさんで流れてきたのはまたしてもYMO。「君に、胸キュン。」でした。
これは1983年のやはり3月25日の発売(シングルレコードでね)。当時の3月は東京で初めて一人暮らしを始めたばかり。新しい小型ステレオを買って何度もこの曲をリピート再生し、4月からの大学生活に希望や失望を抱いていたものです。カネボウの化粧品のキャンペーンやってたよなあこの曲で。
この間YMOは先の「BGM」、同年11月21日「テクノデリック」と2枚の「世界のポップス史上に燦然と輝く革新的職人的超絶技巧的アルバム」を世に送り出しています。
しかし皆さんご存知のように「胸キュン」は非常に軽薄な音に仕上がっおり。
「胸キュン」聴きながらしばし当時30代前半だったYMOのみなさんの想いを想像してみました。
やっぱ、やりたいことやっちゃってあとは「歌謡曲で遊んでみる」感じだったんでしょうねぇ。
そんな気分のところに、カネボウ扱いの広告会社からキャンペーンソングのオファーが来て(実際81年に2枚のアルバムを出した後1年半くらいは各自ソロとして様々な「職業音楽家」活動に励んでいましたし)、「お。なんか面白そうだからやっちゃおか」「どうせだからベストテン1位とかねらっちゃおか」「ついでにその路線でアルバムつくっちゃおか」ということになったんでしょう。
それにしてもこの曲、軽薄ですが「わざと遊んでいる」音作りはすごいです。曲構成とかメロディとかエフェクトとか。それでも要所にフクザツなコードが仕込まれたりしていて知的だし。
実際「胸キュン」はオリコンチャートで急上昇、細野さん作曲の「ガラスの林檎(松田聖子)」に阻まれて2位止まりでしたが、当時の歌謡曲番組にもでまくってました。そしてこの曲を含むアルバム「浮気なぼくら」が83年5月24日に発売。シングル「過激な淑女」(同年7月27日)でもういちど歌謡曲で遊んだあと、10月15日に雑誌インタビューで「散開」を発表し、12月14日には最後のアルバム「サーヴィス」が、ビートルズでいう「Let it be」みたいな位置づけで我々の元に届き・・・という具合に「リアルタイムYMO」の時代は悲しくも終ってしまうわけですね・・・。

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コンポーザー・細野さんとそれを超える凄腕音楽家

発売日を待ちに待って買ってきた、細野晴臣さんの楽曲を多種多様なミュージシャンがトリビュートするアルバム、「STRANGE SONG BOOK-Tribute to Haruomi Hosono 2」。まだざっとしか聴いてないけど、やぱすごいです。

51zia3vc0rl_aa240_ 何よりも、細野さんのおなじみの楽曲がいろんなアレンジ、解釈で演奏されてるから、オリジナルの構成やメロディーやコード展開の素晴らしさに改めて気付かされます。

それと、曲によっては「こりゃオリジナル超えてるわ」と思わせられるものも。特に耳に残るのは坂本龍一がピアノを弾く「ノルマンディア」。要所要所のテンションがかかったコードは坂本節が満載。細野さんの曲をベースに、こんなに坂本色が出せるんだなあと感嘆します。それから吉田美奈子の歌う「ガラスの林檎たち」。バッキングはハモンドオルガンだけなんですが、このハモンドがスゴい!衝撃的な問題作(!?)ですねー。こういう解釈ありかよ、みたいな。

ほかにもスゴいトリビュートがたくさんありますが、第一報はこんなところで。聴き込むのがとても楽しいアルバムです。

細野晴臣 STRANGE SONG BOOK-Tribute to Haruomi Hosono 2-(DVD付) 細野晴臣 STRANGE SONG BOOK-Tribute to Haruomi Hosono 2-(DVD付)

アーティスト:オムニバス,鈴木慶一,HANNO + FUMIYA + AOKI,セニョール・ココナッツ,ハース・マルティネス with ヴァン・ダイク・パークス,大貫妙子,キセル,ドクター・ジョン,鈴木茂 + 青山陽一,林立夫 + ハミングキッチン
販売元:エイベックス・マーケティング
発売日:2008/01/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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ジョアンのサンバ解釈回路

先日、偶然CDショップで見つけたのがこのCD

ジョアンがカバーするサンバの数々の本歌特集です。

ジョアンはあまりオリジナルの曲を作っていません。むしろジョアンの若い頃に聴いていたサンバを独自の解釈で「ボサノバ」として弾いている・・・。そのカバーの仕方が、俗に言う「ボサノバ」なんですね。

こんな曲をインプットして、ジョアン回路を通るとこういうアウトプットになるのか、とアルバムを聴くと「ジョアンの頭の中の解釈」がわかりますね。

この創造力といったら・・・

ジョアン好きの方ならぜひ聞いてみてください。このアルバム。

ジョアン・ジルベルトが愛したサンバ ジョアン・ジルベルトが愛したサンバ

アーティスト:オムニバス,アンジョス・ド・インフェルノ,ジャネー・ジ・アルメイダ,イザウラ・ガルシアとオス・ナモラードス・ダ・ルア,オス・カリオーカス,オス・ナモラードス,ガロートス・ダ・ルア,フランシスコ・アルヴィス,トリオ・スルジーナ,マリーザ・ガタ・マンサ,ジョアン・ジルベルト
販売元:ライス・レコード
発売日:2007/03/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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梅は咲いたか、Y・M・Oはまだか。

「梅は咲いたか、Y・M・Oはまだか。」とは、アルバム「BGM」発売時の、YMOファンにはなじみの深いキャッチコピーですね。いきなりマニアックな話で恐縮ですが。私は梅を見ると、いつもこのコトバが頭に浮かんできてしまいます。

Dvc00032_3先日、大岡山で満開の梅を見ました。2月の初めにこんなに立派な梅が見られるとは・・・まさに「暖冬」を改めて身近に感じる思いです。

 

Dvc00024_1梅は好きな花のひとつです。春の訪れを主張するようにまっすぐに伸びる枝。そこに「グーとパー」みたいに無邪気にぽこぽことくっついている花やつぼみ。そしてどこか大人びた清楚さのある香り。この日の梅は、青い空と花のコントラストも最高。花好きの連れも嬉しそうに写真を撮っていました。

 

さて、梅は無事に咲いたのですが今年のYMOは・・・といいますと。

見事に咲いているようですね♪

昨年から徐々に世間(の一部)では、YMO熱も上昇の機運です。

1月にはシンコーミュージック・エンタテインメントから「NICE AGE YMOとその時代」、アスペクトから

Yello Masic Orchestraという2冊の本が発売され、巷(の一部)で話題騒然です。

さらには2月からキリンビールのCMキャラクターとなってTVだけでの再結成演奏がオンエアされています!期間中はYMO写真入りの6缶パックも発売されるというから日本中(の一部)が大興奮ですよね。

これでクローズド懸賞(商品購入者だけ応募できる懸賞)でも設定された日には、往年の「富士カセット買い集め地獄」再来でしたが、そうはならなかったようで嬉しいんだか哀しいんだか。

今年の梅はいつになくエキサイティングです。

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ジョアン・ジルベルト来日公演最終日~最後の奇跡

Dvc00125  先日2006初日公演のお話を書きましたが、11/9はその最終公演に行ってきました。(写真は最終日、ジョアンの会場着を待ちわびる会場風景) 

 

2003年の初来日や今回の初日は緊張感が漲っていましたが、この日はとってもあったかい感じのするステージでした。 
1曲目は205分、私の大好きな曲「僕は家には戻らない」。のっけからノリのいい曲でスタート。7曲目の「フェリシダージ」も素晴らしい出来。
しかし今回来日ではギターの音量は抑え目で、ジョアンの声が前に出てくる音響ですね。75歳という年齢からジョアンが見つけたベストなバランス、なのかも知れません。そうそう、今回はバチーダの合間に「ワンストロークで2拍・または4拍引っ張る」という「省エネ奏法(?)」も多用していましたね。 
 
22曲めにやったスロウナンバー「コルコヴァード」は、まさに「魂で歌う・魂で弾く」物凄い完成度で、鳥肌ものでした。その後第1アンコール、2アンコールとあったのですが、途中2度ほど「眼鏡」に関するハプニングが。1度目は「オ・パト」が終わろうとする頃、眼鏡がずり落ち出しまって一瞬エンディング中断、2度目は32曲目・最後の曲「イパネマの娘」の途中で右手で落ちそうになる眼鏡を直し、その間ギター無し1小節ほどアカペラ。「現場」にいない限りこんなジョアンを見ることはないでしょうね、いつもカンペキを目指すお方だから・・・。そのお詫びかどうか解りませんが、軽く5コーラスは繰り返して演奏する大長編曲となりました。 
 
また、初日同様「イザウラ」も、ホワイトアルバムに入っているバージョンとはかなり違って年輪を感じさせる歌声・節回しでした。「仕事に行かなくちゃならないけど、君のそばを離れたくないよ、♪アー♪ヤー♪ヤー」という意味合いの歌なのですが、若い頃とはちがった愛情のありかたが滲み出ているような気がしました。 
そして「ショォ!」という合いの手みたいなのが忘れられないのは今回来日で初演の「ピカ・パウ」(って読むのかな?)。知らない曲でしたが、いままでのボサノバとは似ていても全く違うグルーブがあり、どこか民族的な可愛らしい曲でしたねぇ。 
 
どこかの雑誌にも書いてあったのですが、ジョアンのステージはまさに「声とギター」だけなのですが、たまーにギターの音の奥でストリングスやピアノのような音のハーモニーが天井のほうから聴こえてくることがあるのです。今日の公演でも2回ほどありました(不思議ですが、ぼくの空耳ではないと思います)。「ドラリッシ」と、それから終わりのほうのスローな曲で。まさに豊かな音・響きを生み出すことのできる「至宝の技」なんだなあと思いながら聴いていました。豊かに満たしてくれます、耳も心も。ジョアンの年齢からいって日本では最後の演奏になるかもしれないこの場にいられたことに、深く感謝してしまいます。長生きしていただきたい、と心から思います。 
 
招聘・運営にあたったスタッフの皆さんも、たいへんおつかれさまでした。ありがとうございました。 
 
・・・特にジョアンのステージの後は「しばらくほかの音楽は聴きたくない」病になってしまうのは私だけでしょうか・・・。 

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私の常識を打ち破ってくれた音~イエロー・マジック・オーケストラ中期の2枚のアルバム

   

音楽に限らず、それまで自分が思っていた「常識」ってありますよね。
そんな常識をばっくりと壊されたことが何度かありまして、そのひとつ(ふたつ?)がこれ。
Mhcl208
Mhcl209イエロー・マジック・オーケストラ(以下「イエロー」と略)の1981年のアルバム「BGM」(左)と、その半年後に発表した「テクノデリック」(右)。
それ以前からイエローは大好きで聴きまくっていましたが、それまでのイエローとは音も音色も全く違った、コンセプトの大転換が行われたアルバムです。
これらには、「それまでのイエローとは違う」だけじゃなくって、ほかのどんな音楽にも全く聴いたことのない音がぎっしり詰まっていたのです。(実際、録音手法とか、ディレイの使い方などの加工手法、サンプリングという音源開発手法とか、テクノロジー的にも当時かなり実験的な最先端を突っ走っていました)
1981年、3月発表の「BGM」で新しいコンセプト(戦略)を掲げ、11月発表の「テクノデリック」で戦略・戦術まで完成させた、という理解を私はしています。
どちらのアルバムも、基本的に「暗い」トーンです。
当初は音や詩に込められた(であろう)「アルバムの意味」を解釈しようと必死でしたが、今はもっと単純に「音楽」として聴くことができるようになりました。
それでもスゴい。深い。
特に「テクノデリック」で聴ける音の世界はいまなお新しいです。LMD649という手作りマシンを駆使して、灯油缶を叩く音、工場のプレス音や口で発した擬音語で作り上げたリズムパート。そこにねっとりと絡みつくように塗りこんだ細野氏のベース。そしてこのアルバムのカラーを最も印象付けるフレイバーは坂本氏の、重い足取りで音符の上を歩くようなピアノでしょう。
アルバム中の「階段」「プロローグ」~「エピローグ」あたりではこのような味わいを思いっきり堪能できます。細野ベースの大ファンとしては、「灯」も代表曲として推したいところです。
思春期のころにこのアルバムに出会ったことは後々の音楽観ばかりか人生観に大きく影響しました。
まだ聴いたことのない方は、ぜひ一度、なるべく大きな音量で聴いてみてください。
 
 
 
さらに「BGM」発売にあたっては、衝撃的なビジュアルの広告が現れました。
ボウリングシューズを履いた振袖姿の舞子さんが、ボウリングの球の代わりに温泉マークのついたLPレコードをいましも投げようとしているスチール。これにかぶさる梅は咲いたか、Y・M・Oはまだかというキャッチコピー。驚きました。今でも憶えてるくらいですから。
音楽と広告が織り成す、常識の通用しない世界。そこにたくさんの「宝物」が当時の私には見えたような気がします。
この広告に出会わなかったら今の職業を選んでなかったかもしれません。
BGM BGM

アーティスト:YMO
販売元:ソニー・ミュージックハウス
発売日:2003/01/22
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テクノデリック テクノデリック

アーティスト:YMO
販売元:ソニー・ミュージックハウス
発売日:2003/01/22
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