カテゴリー「文化・芸術」の記事

上野伊三郎とリチの企画展に行ってきた。

目黒区美術館でやってる「上野伊三郎+リチ コレクション 展
ウィーンから京都へ、建築から工芸へ」
を見に行きました。

O0283040110165387291 この人たちのこと全然知らなかったんだけど、どこかでもらったチラシ(画像のやつね)がキレイだったので春先から行こうと思ってたのです。
これが素晴らしかった・・・。600円のチケットは安すぎるだろ、っつくらい。ほんとよかった。

上野伊三郎は大正から昭和前半に活躍した近代建築家ですが、建築に留まらない「生活空間プロデューサー」です。そして上野リチはオーストリア人で伊三郎留学時代に知り合って結婚した奥さん。こちらはテキスタイルをはじめとした図案デザイナー。
伊三郎が中心になって起こした「インターナショナル建築」という団体もすごい(展示されてる機関誌がすげえ出来)。この設立の理念がカッコいいわけです。引用はしませんが。

それもいいんだけど、ど真ん中のツボは奥さんのリチの作品でした。なんともいえない線と色彩で描かれた図案はどれも「かわいい。欲しい」と思わせる作品。リチのデザインで焼かれた七宝焼きの灰皿が最高でした。画像で紹介できないのが残念。
きっとこの「展覧会企画」自体が素晴らしいんだろうなあ。見せ方や会場構成も上手。拍手モノです。

見終えた後は、思わず企画展の公式ガイドブック2000円を購入。さらに、「日本の近代建築を体系的に学びたい」思いがふつふつと湧いてきて関連の岩波新書をゲットしてしまいました・・・。

伊三郎さんは大阪の弊社関西支社が入ってるビルの設計もしたそうで、それもなんか親近感がわいてきましたw。

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ピカソのここが好き。

新国立美術館とサントリー美術館でやってる「ピカソ展」を初日に観てきました。
学生時代に箱根の彫刻の森美術館でピカソの陶芸作品を観て以来のピカソファンなんです。
だって観てると笑っちゃうくらい楽しいから。このときは本当に、不謹慎なくらい美術館で笑い転げました。

今回のピカソ展は2つの美術館で同時開催。新国立美術館では、「付き合ってる女の人の変遷と作風の変化」を追いかけ、サントリー美術館では「ピカソの自画像の変遷と内面の変化」みたいなテーマで展示構成されています。この企画切り口も見事。
特にボリュームがあって面白いのは新国立美術館ですね。笑えたw。
しかし、笑ってるだけでなくてピカソの魅力についても改めて考えてみました。
一つは、前から感じていた『作品そのものの直感的なたのしさ』です。
そしてもう一つは・・・。
ピカソといえばキュビスムが有名ですが、そもそもキュビスムってのは4次元的な視点で対象を分析しそれを2次元の絵として解釈しなおして再構築する(lotus独自解釈)芸術技法。
つまり4次元の素材なんて変数が多すぎるから、どうしても2次元に再構築させる時には「とうてい人にはわかんないようなやりかた」になっちゃうわけですよ。
でも、すぐれた芸術はコミュニケーションである(lotus独自解釈)限り、すぐれた芸術家は「観てもらう人にある意図を伝える」ことをひとつの使命にしているわけです。また、「コミュニケーションは前者(送り手)責任」というコミュニケーション理論(lotus独自解釈)が常識的にあるわけですが、逆にいうと「コミュニケーションは後者(受け手)無責任」でよし!これは私の芸術を楽しむときの基本姿勢です。
一方ピカソに代表されるキュビスムは、この「分析→解釈・再構築」が複雑すぎて・・・。
だからこそ、『解釈のたのしさ』が生まれてくるわけですよね。「抽象画ってわかんないから難しい・・・」なんてよく聞きますけど、「後者無責任」原則によってそもそも正解を当てる必要なんてないんだから!
という前提に立つと、とたんにキュビスムがたのしくなってきます。わははは。
ピカソはこの二つ、『作品そのものの直感的なたのしさ』&『解釈のたのしさ』が揃ってるから面白い!

サントリー美術館のほうは、この2つとも希薄でイマイチだったかな。むしろこちらだけ観るとするとちょっとイタいかも。一緒に観て正解です。

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