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暗渠ハンター (横浜の)宇田川あるいは夢の黄金沢(仮)のこと。

横浜は鶴見の図書館で見つけて
これはぜひとも手元に置いておきたい!と
その場で検索してポチった「かながわの川」。
(神奈川県高校地理部会編 神奈川新聞かなしん出版)

大変面白い本で、手元に届くとさっそく
「ああの川はこうつながっていたのか」とか
猫またぎさんが書いていたのはここか」
などと読みふけってしまいました。
書かれている神奈川の川の中でも私が特に注目したのは
「宇田川」と「目黒川」。
私のホームグラウンド東京にある
メジャー級のとおんなじ名前の川がある!

というわけでさっそくどんなものかと「宇田川」に行ってみました。
ある地点から水源を目指したのですが、その水源には驚くべき光景が‼
あったかくなるときっと草深くて立ち入れないでしょうから、
いまのうちにご紹介しておかねば、と
連載中の「さいたま市・藤右衛門川」をいったんほっぽって
こちらを取り上げることにします。

**********

そもそも宇田川とは、ってとっからいくと、
町田に端を発し横浜市と大和市・藤沢市の境を流れて
江の島に注ぐ境川(その名の通りや?)、
その支流でございます。
なんで「宇田川」っていうかっていうと、
「かつて、宇田川は村岡川と呼ばれていました。村岡は地域の郷の名で、
大正時代に川下に堤を設けた宇田氏の功績を讃えて、宇田川名が生まれました」

とのことです。
横浜市道路局のサイトより。

横浜市戸塚区と藤沢市の境あたりで合流するんですが、
さかのぼると「まさかりが淵」などの名所もあったり。
そこは諸事情のためがっさり割愛して、
今回はこのあたりから遡ってみます。

より大きな地図で 横浜市泉区 を表示

上の地図が宇田川で、下方向が下流で上が上流。上流は三つに分かれていますね。
どれが宇田川なんでしょう。

ここで先ほどの横浜市のサイトを見てみましょう。
「上流域(泉区中田町周辺)は、昭和40年代の高度経済成長にともない、
市街化が急速に進みました」
とあります。

少なくとも泉区中田町に向かうのは左のと真ん中のやつ。
これらが「宇田川」ようですね。
(この2本はすぐにまた1本に戻り、さらに上流ではまた複数に分かれます)
この先これらを遡っていくことにします。

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ここが真ん中の川。
Img_0077

どうも地元では宇田川よりも「村岡川」のほうが定着してるのかも。
Img_0078

少し遡るとはしご式開渠となり、
側道もなくなるのでしばし迂回。
Img_0083

上流に回り込み下流を眺めます。
Img_0085

そして、暗渠でさきに分かれたもう1本の宇田川が
直角に向かってきます。
それをたどってみると…。

Img_0086
農園蓋ですね。

こちらがそのもう1本が、並行してやってくる様子。
変わった構造の暗渠です。
Img_0089
斜めってるところにほんとの流れがあって、
真ん中の溝はおそらく一時的な雨水口、なのでしょう。

合流してからは痕跡が一時的にとだえます。
横浜地下鉄ブルーラインの立野駅が間近。

その駅前に立地するイトーヨーカドーの敷地をかすめて
長後街道を越えていきます。
そこでまた開渠となって2本に分かれちゃう。

東側のがこれ。
Img_0092

そして西側のがこれ。
Img_0090
この西側の流れを上流に回りこんで下流をみたのがこれです。
Img_0097
なんかこの風景すごくいいなあ。
あの川のほとりの家もいいかんじ。

***********

その先はちょっと割愛気味に行きましょう。
これら2本の北には、中田中央公園という広い公園が。
ここで地形図をご覧ください。
Google Earth さん東京地形地図さんいつもありがとうございます

Photo

公園は緑の点線の中。
ここからは谷頭が二つに分かれていきます。
つまり二つの川がこのあたりで合わさっていると。
緑点線付近は幅広い低地となっているのがわかりますが、
おそらく昔から治水の要となっているのかもしれません。
現代でもここは治水も兼ねた公園となっていますね。
よく整備された「清流」(カワニナ育ててるそうです)や、
遊水地になる野球場があったりします。
Img_0109

ここまで来ると水源は間近。

まずは西側の「1」の谷の水源から。
水路が遡れるのはここまで。
Img_0145

この先はこんなふうな畑。
Img_0147
奥がどんと高くなって、小さな崖になっているのが解ります。
あの崖の向こうは鶴見川水系となります。

*********

中央公園まで戻って、
「2」、東側の水路を追いかけましょう。
こっちの谷のほうが奥まで続いてるから、こっちを勝手に「宇田川の本流」
と呼んでしまうことにしましょうか。
とはいえこちらも途中まで2本に分かれて上流方向に並走しているんですが。

こちらがその「本流」。
Img_0111
足元と、そのちょっと西側(左側)とに本流が流れており、
その間は畑。
これみてください。松の畑。パインフィールド。
Img_0113
段階的に「収穫」するみたいで、
左側が「よく育った松」、真ん中が「まあまあ育った松」、その右が「これから育つ松」。
門松みたいのに使うんですかね。
それとも植木屋さんとかに売られていくんでしょうか。
Img_0114

遡って行くと、あるところで2本の宇田川「本流」が合流します。
その合流先がこちら。
Img_0124
うわーもう横浜とは思えませんね。
さーてこの先どこまで追えるかな、
と不安を抱きつつコの字ウォークで上流へ。

下の写真の、畑の左側が宇田川です。
Img_0125

さあこの流れに近づいてみると…
Img_0128

これ上流方向。この先はいったい…。

さらに進んでいくと、
とうとう谷頭らしきところが見えてきました。
下の写真の左奥のほう。
正面の農道を通って左奥にアプローチ。
Img_0129

地形図で見ても、谷頭はがくんといきなり落ちる窪になっていますが、
さて実態はどんなふうになっているやら…。
ここからが本日のクライマックスです。

************

草と木が茂るその奥に谷頭があります。
冬だからマシでしょうがこれは夏には相当入るのに勇気がいるところだと思います。
たぶん普通の人はこんなところに絶対入らないし
入りたくないと思います。きっと地元の人でさえも。
そんな隔絶感満載のスポットです。

なんだか黄色いものが見えてきました。
なんだなんだ?
Img_0130

おおおおお!!!!!!!!!
これは・・・
Img_0132

Img_0133

Img_0134

ほんとうに言葉を失ってしまいました。
一瞬この鮮やかすぎる黄色?オレンジ色?金色?が
自然と見る者に警戒心を抱かせるのですが、
信じられないことにその上に透明すぎるほど美しい水、
いまここで湧いたばかりの湧水がゆっくりとたゆとうているのです。
その清らかな水ごしに、まるで黄金(こがね)色の雲が見えるようです。
なんと幻想的な。なんと美しい。
夢の中に迷い込んでいます私は倒置法)。

そんな秘めたる場所がこんなところに存在するとは!
秘境です、秘境というには余りに身近すぎますが、
ここは紛れもなく秘境です。
その秘境が抱いているのは黄金(こがね)色の沢です。黄金沢(仮)。
きっと昔のひとたちはここをそう呼んだに違いない、勝手にそう考えました。

私が近所に住んでいたなら、
このあまりの神々しさに毎日お参りしたくなるほどです。

状況をカラダで飲み込むと、
出会いがしらの警戒心はすっかり消えていることにに気づきます。

黄金色は雲のようなクラゲのような
ムーピー(手塚治虫「火の鳥」参照のこと)のような不定形。
小枝で突っつくとバラバラに崩れてしまいます。
それがまるで柔らかな結晶のように水底でゆらゆらと踊っています。

さて少々現実に戻って、
この黄金色の物体の正体は…?
答えは水友達であり偉大などぶ研究家の俊六さんのサイトにありました。
ドブ川雑記帳」。
ここの「オレンジと油」のページ。

この記事向けに要約すると、
・この沢の湧水はどうやら鉄分を多く含む。
・この沢ではその鉄分を利用して生きる「鉄酸化細菌」がゆっくりと仕事をしている。
・その仕事の結果として鉄さびが生まれ、沢の底にふんわりとたゆとうている。
・それが「黄金沢(仮)」たらしめている。

俊六さん、どうもありがとうございます。

この沢の出口から奥を見たところ。
Img_0135
沢の中から生えている木。
Img_0131
水は、どこからかどばどば、ではなく
こんなあちこちのところからにじみ出るように湧いています。
Img_0136
じゅくじゅく。

一番奥のじゅくじゅくはもっとも水量が多いような気がしました。
Img_0139

黄金沢(仮)の奥から出口方向を見たところ。
Img_0138_2

どうも写真の力量の限界もあってうまくここの魅力が伝えられません…。
インスタグラムでの短い動画も貼っておきます

ぜひここは、暗渠好き・湧水好きなみなさんにもその目でご覧いただきたいです。
暖かくなると草木や虫などがすごくなりそうなので、ぜひ今のうちに。
ほんとうに、アスファルトの道路から100mちょいの、
畑の端っこの茂みの奥にある身近な秘境です。

そのアスファルトの道路から名残惜しく黄金沢(仮)を振り返ったところ。
下の写真の右から左に宇田川源流が流れています。
Img_0140
右の奥が黄金沢(仮)。
最寄り駅は相鉄線の弥生台になります。
ぜひいまのうちに。

***********

けっこうこの日は歩いたのですが
(ここの前にも興味深いところがあったので後ほど記事にてご紹介しますね)
ここでアドレナリン大放出し体力も見かけ上復活してきました。
ですので宇田川の上流のうち一つ東の沢にまで足を伸ばしてみました。

そこは、御霊神社。
Img_0152
崖を使った境内の中から水が湧き出ています。
Img_0157
そのすぐ下流には橋が架かり「村岡川源流」と彫られています。
ねえ、やっぱ「宇田川」って地元では定着してないんじゃない?
宇田氏大丈夫か?

そのさらに下流側。
権五郎党、という集団がカワニナを保護して
ホタルを養っているようです。
Img_0154

ホタルの夜も見てみたいですが、
そのころに来るとあの黄金沢(仮)に分け入るのも難儀だろうな。

一度近いうちに、
今日はまさか使うまいと思って家においてきた
「水質調査キット」を持って再訪しなくちゃな…。

※20140215追記:猫綱さまから、twitterでこんなお知恵をいただきました。
1

へえー‼

製鉄遺跡・・・。ちらとwebで調べてみても、いくつかでてきますね。
やっぱり鉄の土地なのか。
猫綱さま、どうもありがとうございました。

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コメント

これはすごいのを掘り当てましたね!火星に着陸したみたいです。
ぜひ行って見たいです。すごい色なのに心が吸い込まれるようです。
この沢がいつまでもこの姿を保たれんことを。

投稿: 大石俊六 | 2014年2月12日 (水) 20時07分

俊六さん
この「黄金」の正体をご存知ない方が見ると、「うえっ!」ってなるかもしれませんね。うろ覚えでしたが俊六さんのサイトで予習させて頂いていたおかげです。改めて感謝いたします。

でもそれをさっぴいてもなお「美しい」と思える光景でした。(同行の相方も美しさに感激していましたし)
たぶん
①「黄金」の造形も色も美しかったこと
②ある程度の広さ(畳8畳分くらい?)に一面この景色が見えたこと
③「黄金」の上に満ちている水が美しかったこと
④そこで「水が湧いている」ことがすぐに理解できたこと
⑤周りから軽く隔絶され、しかも水面から大きな木が生えていたりして幻想的要素が揃っていたこと
の5つが、ここを「感動のサンクチュアリ」たらしめる要素だったのではと思います。
ぜひ行ってみてください!!

投稿: lotus62 | 2014年2月12日 (水) 20時18分

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