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2013年11月

暗渠ハンター 駒沢公園端の路地暗渠

カケダシの頃は世田谷や目黒の暗渠から始めたのですが、
当時の私の暗渠ハンティング方針は
・まずあちこちのメジャーな川跡を辿って、大括りな水系を掴む
・そのあとで、掴んだ全体の「流れ」に則って支流などディテールを攻めていく

ということでした。

そんなんで、
当時比較的自宅に近かった呑川も割と早々に回ってはいました。
しかし、支流についてはまだまだ完璧を期せてはおりません。
まあ気が向いたときに見に行けばいいやあ、
と思っているとそうそう行けないものですが…。

しかし先日はとうとうまとまった時間を使って
呑川駒沢支流、深沢支流のさらに支流を見に行ってきました。
そんなんでいくつか断続的にそのあたりを書いていこうと思います。

しかしこれらは先達のみなさまがご自身のブログでかなり触れられていますし、
また「東京『暗渠』散歩」(洋泉社)でも地図にプロットされていますので。
決して目新しいものではありませんのであしからず。

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呑川駒沢支流は駒沢公園の北東に抜けて246手前で終わってる、
としか思ってませんでしたが、
私がこの駒沢公園内の谷を知ったのは、庵魚堂さんによる「世田谷の川探検隊」のサイト。
いつかここをしっかり歩いてみたい、と思いつつ幾星霜。
先日ようやく行ってきたというわけです。
地形図でいうとこんな感じ。
水色が呑川駒沢支流です。
GoogleEarthさん東京地形地図さん毎度お世話になります。

Photo

駒沢公園を貫く谷は二つ。
一つは緑色のもの。
駒沢公園の北西に谷頭を持ち隣接する駒沢大学
の北端および学内を通るものですが、
こちらは246あたりから谷地形は残るもののさしたる痕跡はないので省略。
Img_0020

痺れるのは、赤いほう。
その南の谷筋で駒沢公園硬式野球場の南に走るやつ。
「東京時層地図」で確認すると、今のオリンピック広場(っていうのかな)の
塔のモニュメントあたりをばっさりと斬って呑川駒沢支流に注いでいます。
Img_0032

この谷。元はゴルフ場ね。
Img_0033

公園内でその谷跡を追って上流を目指しながら歩いていくと、
Img_0037

公園敷地を外れた所に暗渠がとん、と軽やかに出現するのです。
Img_0042_10
いい暗渠の予感。
「うし!」とこころでつぶやいて入ります。
下水道台帳で確認すると、
川を転用したのでしょう、下水道が通っているようです。
(駒沢五丁目の5と3の上を通るのがこれ)
東京都下水道局下水道台帳より転記。

Photo_2

この暗渠の左手、つまり右岸は崖。
深い谷だったのですね。
Img_0046

その先にある四角いものは…。

大谷口の風呂釜支流を彷彿とさせます

Img_0047
見事に第二の人生を送る浴槽。

苔むす右岸。
Img_0053
心から美しいと思うのでした。

そして雑草。
Img_0056
アスファルトで固められ都市化のシステムに制御されながらも
どうしようもなく発露してしまう自由。
こんな暗渠を歩いていると、よく「エントロピー」という概念を思い出してしまいます。
エントロピーの増大を可視化しているわけですな。

左岸が駐車場となって少々開けた感じ。
Img_0059
でもエントロピー増大中。

ここで暗渠は終わり、右岸左岸の段差もほとんどなくなってしまいます。
すなわち谷頭付近。
Img_0063

東京オリンピックを契機に作られた公園にも押しつぶされずに
健気に残る暗渠。
いつまでも。

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境界ハンター 千葉の市境ミルフィーユ地帯をゆく

今日は久々に暗渠の話ではないやつなので、タイトルをちょっと変えました。
とは言っても最近湧水のことだけで暗渠のこと書いてない時も
「暗渠ハンター」って使ってますが。
まあ都会の場合湧水は湧き出た直後から暗渠に入ることがおおいですからね、大目に見てください。

今回はどこに行ってきたかというと、まずはこの地図をご覧くださいまし。

Photo

(スマホ版「Mapion」から転記)

あいほんで千葉の地図を見ていると、
千葉は結構入り組んだ市境が多いことに気がつきます。
たとえば馬込沢あたり(namaさん記事参照)。
こりゃおもしろいなとその周辺も見てみたら、
最も印象的でミステリアスなところが上の市境でした。

ところで、
行政区の境界というのはいろんなタイプがありますね。尾根とか、川とか。
やっぱ暗渠者としては、こういう地図を見ると
「ここに沢(川)があるのではないか?すなわち暗渠があるのでは?」
と思ってしまうのはもう性のようなもんです。
だから、タイトルは「境界ハンター」にしましたが
書き進むうちに事実上「暗渠ハンター」になってしまう可能性も大。

えと、話を戻します。
上記の地図は、四街道市と佐倉市と千葉市、
さらに千葉市は花見川区と稲毛区が映り込んでいるもの。
つまり5つの行政区が入り乱れる境界銀座!
それがあちこちでミルフィーユ状に重なってたりするからなお面白い!
のであります。

いったい現地はどんな様相を呈しているのでしょう。
ひとつの谷戸を行政区が入り乱れて奪い合っているのでしょうか。
それとも。ここに参加している行政の数だけ谷戸があるのでしょうか。
実物が見たくてたまらなくなって、
とうとう遠征してきました。

アプローチはまずJR総武線の稲毛駅から。
久々にこの駅に降り立ちました。
学生の頃友人がこの駅にある寮に住んでいたのでけっこう遊びに来たっけなあ。
駅前でパチンコ打って二人とも勝った夜は、
これで小旅行にいこうぜと千倉の民宿を公衆電話から予約して、
その足で内房線に乗っていったっけ。
それが初めての千倉だったなあ…。
勝ったとはいえ電車賃と宿代くらいしかないので、
せっかく海の街に来たというのにサシミとか食べられなかったなあ…。
そのとき「いつか千倉でたらふくサシミを食えるような人に…」と決意したものです。
その1年後。
友人から「私の実家は千倉で民宿をやっているのですが、8月末になるともう暇となるので遊びにきませんか」
と誘いを受けて押しかけ、
漁師をやってるお父様が獲ったサシミをたらふく食べることができました。
というわけでわずか数年で何の努力も苦労もなく千倉で誓った夢を叶えてしまうことになりました。
諸君。夢は叶う。…時がある。

千倉の話ではないのでした。稲毛です稲毛。
そっからバスに乗り移動、地図でいうと「上の方の境目銀座」あたりから
探索を始めることに。

「こてはし台」というバス停からそこに歩いて行くまでが結構大変でした。
畑の中を歩いて行く景色は北海道かよ、と。
Img_0012

こんな大草原を歩いて歩いて、そしてとうとう目的地。
この地図の

1

宇那谷町という文字の左にある信号、このちょっと上の市境です。
宇那谷町は千葉市花見川区。
上の上志津原は佐倉市。
境目はこんな風になってます。
果たして川がその境を刻んでいます。
Img_0021

その横には鉄塔。花見川線No6。
Img_0022

ここから地図右下に下っていきましょう。
といっても川端に道がないので
宇那谷町(千葉市花見川区)とその下の四街道市の市境の道を歩いていきます。
Img_0026_2

市境には不法投棄のゴミがよく見られますが、
ここにもクルマがゴミとして打ち捨てられています。
近くの解体屋さんが置いているだけなのかな。

さてここはこのあたり。

2
矢印のすぐ下は千葉市花見川区、その下が四街道市。
矢印の上は佐倉市、そしてその上にまた四街道市。
ここがいわゆる「市境ミルフィーユ」!
最も今回見てみたかった場所。

これが真ん中の市境、つまり千葉市花見川区と佐倉市を分かつ川。
Img_0035
左側が花見川区、右は佐倉市です。
写真には写ってないけどもっともっと左は四街道市。
さらにもっともっと左も四街道市。
四街道市が、ひょろひょろ延びてきた千葉市花見川区と佐倉市の
触手を包み込んでいる格好になっています。

そして少し進んでこちら。
Img_0050

場所はこんなかんじです。青いポイントが私の位置。
Img_0051

つまり、私の背後は四街道市。
道の向こうの田圃は佐倉市で、
その向こうに川が流れていてそっから先の田圃は千葉市花見川区。
向こうに見える山(林のことね)は四街道市と。

写真だけみると単なる「一面田圃」な風景ですが、
Img_0054

地方行政的にはたいへん入りくんだややこしい事態になっているわけです。

佐倉市の市境のはしっこまで来ました。
Img_0061
そこで見える光景がこれ。
Img_0060
ARで市境が出てくるアプリとかで見たらえらいことになってるはず。

この先は、東関東道によってさえぎられる形で
四街道―千葉市花見川区―四街道のミルフィーユが終わります。
3

しかし川沿いにさらに南下すると、
また盲腸みたいな市境が現れます。
小ミルフィーユ、つうかんじですね。
小深町と書かれているところは千葉市稲毛区。

またどうしてこんな市境になったんでしょうか。
そんなことには全く意に介さぬかのように市境を刻む川。
Img_0092

この地図の、「スタジオノースフェイス」の左のほうにある
突き当たりの道は
4

こんなふうになってます。
Img_0094

私が立ってるのは千葉市稲毛区。
ガードレールの向こうは四街道市。

このへんまで来ると、とうとう暗渠登場。
5

Img_0114_2

奥に入ってみると、縦方向にコンクリ蓋を敷いたタイプ。
珍しいですね。
Img_0117

いい暗渠です。
タイトルを暗渠ハンターに変えたくなってきました。
Img_0119

じつはこの暗渠、ミルフィーユ地帯を抜けてもどんどん続いてて、
これはこれで大変興味深いのですが、
Img_0157
今回の主題ではないのでバッサリ割愛。
行ったのは8月。
けっこう歩いたのでバテバテです。
四街道駅に戻る途中にあった「一丁目食堂」でヒルメシ休憩。

ビールと一緒に出てきたのは茹で落花生。さすが千葉。
Img_0164

今日歩いてきた、川で割られた境界に住む方々って、
どんな暮らしをしているんだろうなと
落花生の皮を割りつつ
うぐうぐビールを飲んで帰りました。

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暗渠ハンター こんな暗渠がすき。

目黒川の支流の北沢川、さらにその支流の森厳寺川の上流。
ずっと前にこんな記事を書きましたが、そのさらに上流の辺りですね。
先達の方々も大勢取り上げてらっしゃる比較的メジャーな川なんだ、と思います。

その森厳寺川。
東北沢の横を抜け井の頭通りを突っ切って、
北沢中学校を貫通したところにあるのがこの暗渠。

Img_0045

このほったらかされ感がたまらなくいい。

Img_0048

Img_0051

Img_0054_2 

なんでしょうね、先日web文芸誌・マトグロッソさんにも書かせていただきましたが
私は暗渠の佇まいが孕むその場の雰囲気が大好きなんです。
このほったらかされ感、あるいは誰からも気に掛けれれていない感が、
私の「心の暗渠」にびびっと響いてくるんですよね…。

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「マトグロッソ」に拙文が掲載されました。

web文芸誌「マトグロッソ」最新号に拙稿を
東京スリバチ学会特別寄稿として掲載いただきました。

以前こんなかんじの記事をここで書きましたが、
これをもう少し「よそ行き」に整理して書き改めたものです。

Photo

あの内田樹さんや高橋源一郎さん、吾妻ひでおさんらと
同じ目次に並ぶことができる日がくるとは…しかも暗渠話でw 

機会をいただきましたマトグロッソ編集部の浦田さま、
東京スリバチ学会の皆川会長に、
この場をお借りしてお礼申し上げます。

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