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2013年8月

暗渠ハンター 目黒区中根2丁目湧水疑惑を追え!Act.1

自転車でフィールドワークに行くときは、
特に環6や環7・環8に沿うように
板橋・練馬~大田・世田谷を南北に動くことが多いような気がします。私。

だからと言って環7とかの大きな道を使うと結構起伏が激しく、
くたくたになっての帰り道なんか、ちょっとツラいんだ
そんなときは上手に川を使うとラクができますね。
特に呑川、目黒川などなど。
この日もそうでした。目黒大田方面から北上するのに呑川沿いを選んだのです。

とはいえ、いつもの川沿いの道を単に走るだけでは面白くないので、
一本裏、もう一本裏とついつい体力を浪費してしまうのが常。
それでも新たな発見があったりするからやめられません。

東横線都立大前の駅も近いあたりの裏道の裏道で、
突然視界に入ってきたこれに「どきん!」としてあわてて自転車から降りました。
Img_0127 

ビルとコインパーキングの間に現れました一筋の輝ける水面…。
見た瞬間私の口から思わず出てきた独り言は、
「ナンダコレ!」です。

まず水量がある。雨水の時だけ流れができる排水溝ではなさそうです。
また、どぶにしては水がきれいすぎます。
おそらく家庭排水やなんかがここに入ってきているとは思えないほど、
この水及び溝の側面底面がきれいです。
しかし、こんなところに湧水があるという情報は寡聞にして存じませぬ。
…でも湧水だったらいいなあ。

Img_0128

パーキング敷地の奥まで行って、上流を確認してみましょう。
ここが普通に見ることができる最上流端。
Img_0131

このさらに上流は、マンションの敷地となるため写真は控えますが同じような状態で
敷地の端を貫いているのが見えました。

さて、そこで地図登場。
GoogleEarthさん東京地形地図さん、どうもありがとうございます。

Photo

丸で囲ったブロックの、矢印の先がこの湧水疑惑の現場です。
なるほど、急峻な崖とはいえないまでも
西から南にかけて台地が延びておりその台地上から緩やかに
呑川に向かって傾斜ができています。
うん!アリ!!この地形なら湧水の可能性はないとはいえないでしょう。

では再び現場付近の様子を追ってみましょう。
現場のlotusさん!

…はい、こちら現場です。
湧水疑惑を掛けられた容疑渠は、こちらのマンションの建物裏側を抜けて
東横線方面に伸びているものと思われます。

Img_0135

しかしこのブロック、目黒区中根2-15-24なのですが、
このブロックを東横線側に回り込んだところではすでに痕跡はありません。
閑静な住宅街でにわかに起こったこの湧水疑惑ですが、
周囲にお住まいと思われる通行人の方々の関心はあまり高くないものと思われます。
以上現場からでした。スタジオにお返しします。

…はい、危険の多い現場から命がけの中継、ありがとうございました。
何か動きがあれば再び中継を挟みながらレポートを続けてまいりましょう。

ふう。小芝居はやめて元に戻りましょうかw

というわけで、湧水疑惑はお手上げ状態。

そこで。
いったん家に帰って速攻ネットで買ったのがこれ。
柴田化学の「水のチェック隊シリーズ 川の水」。

これを使って、後日再訪してみます。
雨水の影響を避けるため、数日間雨が降らないときを狙って。
結構はほぼ2カ月後、2013年7月27日の午後となりました。
うん、相変わらずの美しさ。

Img_0037

試薬と使って、数種類の簡単な検査ができるのがこのキット。
Img_0032

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さて、結果は…。

PHはほとんど中性。これは清冽な湧水とほとんど変わりません。
その他はこう。
1

ブルーの数値が、「文句なくきれい!」という数字。
緑の数値は、「ダメだこりゃ」という数字。その間に現場の計測結果を書いてみました。

ちょっとこれでは直感的にわかりずらいので、
「汚れている」数値を100とした時に現場がどの程度の「汚れ具合」なのかを
グラフにしてみたものが以下。

2

こうしてみると、
アンモニウム亜硝酸は文句なく「合格」ですね。
一方リン酸はちょっとだけ多め。このリン酸は、排水や肥料などに含まれる成分です。
もっとも厄介そうなのが、CODです。
これはちょっと多すぎる…。水中に有機物がいて、それによる汚染を示す数値です。

でもまあ、目視で確認する限り水源からは100m以上下流で測定をしています。
なおかつその間開渠でマンションの裏やこのコインパーキング横といった
「多分に都市的な環境」を経てきていることを考えると、
そりゃなんか汚れるでしょ、
と考えることもできますね。

むしろアンモニウムと亜硝酸の「とっても低い数値」がこの都会の真ん中で得られるということは、
少なくとも
かなりの確率で湧水」と考えていいような気がします。

あえてここで宣言しましょう。
目黒区中根2丁目に、『かなりの確率で湧水的な流れ』が存在している!

まあその、この水質調査キットも実は買ったばっかりで
そんなに経験値もないのでアレですが。
今後この水質キットを使ってデータを貯めていくようにします。
ほんとの結論は、その後で!
どうぞご注目くださいませ。

…では現場のlotusさん。次は中根のおいしいもの情報を…

より大きな地図で 呑川奥沢支流 を表示

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暗渠ハンター 前野川のもうひとつの源流…前野川追録2

前々回は前野川の「ほんとの源流」として
一番遠いと思われる水源のことを書きましたが、
こんどは途中から前野川に合流する水源のことを。

まずは地形図を。
GoogleEarth さん東京地形地図さん、毎度ありがとうございます。

Photo 地形図

左のほうに横に延びる谷gあ、このまえ書いた若木1丁目の前野川の「源流」。
今回は途中から前野川に注いでいる矢印の二つの谷を取り上げます。

もうこの地形図だけ出せばおお!ってかんじで終わっちゃいそうですが、
まあ一応現場検証してきましたんで断片だけでも見てくださいませ。

まずは南の矢印の谷。
こちらはこのステーキ屋さん「Big Boy」の裏側あたりから始まります。
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Big Boyといえば、カレーやライス含めたサラダバーのバイキング形式で有名なお店。

似たようなしくみは「けん」でもみることができます。

けっこうこのしくみは「おこちゃまメニュー」好きには
堪えられないものがあるのではないでしょうか。
はい、私も憧れます。
私は先日ようやく某所にあった「けん」でこれを試すことができました。
メインで注文したハンバーグの味はさておいて、
調子に乗ってカレーを何杯もおかわりしおなかがはちきれそうになりました。
いったい私は何をしに行ったのでしょう…w。

裏側から、うっすらとした谷筋が始まります。
Img_0013

マンションの公園あたりが怪しいですね。
Img_0014

だんだん傾斜がきつくなってきました。
Img_0017

この谷を降りていくと前野町6丁目公園という公園にぶつかりますが、
Img_0024

そこに東からの深い谷が合流してきます。
この谷の急峻っぷりがすごい!
すごいので、ちょっと谷頭までワープしてそっから下ってみましょう。

こちら谷頭。
Img_0025

住所でいうと前野町6-26。
この道の向こうにはもうこんな断崖階段が…。
Img_0027
これですよ、いきなりこれなんです。
まるで「大地の裂け目」。いやこれほんとそんなかんじ。

Img_0028

途中踊り場的な公園があります。
この崖は大きなマンションによって開発されていて、
おそらくこれは住民の方々のための憩いのスペース。
Img_0029

「裂け目」のこの壁の高さったらないでしょう。
Img_0031

貧相な表現で恐縮ですが、
なんかここを歩いてると自分がほんとに「ワープ中」みたいな気分になってきます。
一瞬だけね。

……

ワープ終了。通常恒星間航行に戻ります。

Img_0032_2

このあたりから前野川本流にかかる谷地はかつて日暮久保と呼ばれたようです。
ちなみにこの谷のさらに北東にも急峻な谷が地形図で確認できますが、
そちらは兎谷津と呼ばれたところ。

なんかハウルっぽいようなヒョウタンツギみたいな感じの前衛的な 住宅が出現いたしました。
Img_0036

もうすぐ前野町6丁目公園の合流地点なのですが、
一本裏(北側)の路地もなんか川跡っぽいですね。
Img_0039

さて合流。
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奥に車止めが見えます。この先ほどなくして前野川本流にあわさります。

対岸、中台中学校方面の崖も、けっこう見応えがありましたので最後にちら見せ。
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今回も参考文献は「いたばしの河川」(板橋区教育委員会)です。感謝申し上げます。

より大きな地図で 出井川周辺 を表示

twitterでも下らないことや暗渠のことをつぶやいています。
@lotus62ankyo

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暗渠ハンター<脱構築版> 韮と雀の街から。

【前口上】
かつて取り上げた場所や、書こうと思って放っておいたと場所も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくのがこの<脱構築版>です。

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 宇都宮市の南端に雀宮(すずめのみや)という町がある。ずいぶんとかわいらしい名前だが、その謂れの一説はこうだ。
 …昔々何でも丸呑みしてしまう「奇人変人」みたいな男がいた。
ある日誰かが中に針を仕込んだ饅頭を用意し、男はいつも通りに丸呑みしてしまう。
痛みに七転八倒する男がふと庭先に目をやると、雀がしきりに韮の葉を啄んでいるのが見えた。やがて雀のお尻から、韮に包まれた針が排出されたではないか。韮を大量に食べればお腹の針を下すことができる!と知りこれにならって男は難を逃れた。
男は後日雀を祀って神社を建て、名を雀宮神社とした。
 その神社がある街だから、雀宮。

貴重な民話なのであろうが、ここから構造人類学的に何か学びを得るのは難しいストーリーだと思う。
 この街の周囲には関東平野が拡がり、初夏には一面の田んぼに広い空が映り込む美しい風景が見られる。そして夏の夜には蛙の声が絶え間なく響き渡る、やさしいみどり色をした湿潤な土地だ。
しかし冬は打って変わって、吹きすさぶからっ風で厳しく荒々しい赤茶色になる。
Ste_8015

 写真は冬の雀宮の田んぼと開渠の用水。


 家族がこの街に入院していたのでこの冬は何度もここに通っていた。
韮は3月、黄韮で2月が旬。早く韮が生えてくれば、病も少しは癒えるかもな、と思いながら。

より大きな地図で 石橋町の暗渠 を表示

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