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暗渠ハンター ヘリクツ編 「暗渠」と「川跡」

暗渠とは、正確に言うと
地下に埋設された河川や水路のこと。
(「みんなで作る土木用語辞典」より)
ですが、私や暗渠界のお歴々では
流れに蓋をされた・流れが地下化された川や水路という意味で使うことが多く、また人によっては
地下に流れがある・なしに関わらず単なる川跡(水路跡)
まで指すことが多いと思います。
私も両方で使っていますし。

今回はそんな、普段あまり考えずに使っている「暗渠」「川跡」の
言葉・考え方の整理をしておこうかな、と。

1 広義の暗渠

私は下図全体のようなかんじで、広義で暗渠という言葉を使っています。

1

で、冒頭の定義みたいにげんみつに「暗渠」とは何なんだ!ということになると
図の上半分にしるした「狭義の暗渠」、つまり
本来地表にあった水の流れが下水管等によって地下に移し替えられたもの
であるべきでしょう。
反対に、図の下半分、
本来そこにあった水の流れが地表にも地下にさえもなくなってしまった場所
は「単なる水路跡」と呼ばれるべきでしょう(ここで川跡と人工の用水跡と両方を含ませるため「水路跡」としています)。

さて、実はここで「水路跡」でなく「単なる水路跡」としたのはワケがあります。
「水路跡」と言ってしまうと、実はこの図でいう「広義の暗渠」とほぼ同じ意味範囲になります。すなわち『「水路跡」=「広義の暗渠」』です。

これまで私はさんざん暗渠暗渠と言ったり書いたりしてきましたが、
実はそれは水路跡水路跡と言っているのと同じ・・・?
「広義の」とかいちいち断らなくていい分、「暗渠」よりも「水路跡」と言ったほうが
適切かつ素直なコトバ選びなのかも知れませんね。

でもね、拙ブログ「東京Peeling!」の中の暗渠記事は
「暗渠ハンター ○○○○」でずっと通してきたし、
いまさら「水路跡ハンター」に変えるのもなあ…w
名刺に書いてる「中級 暗渠ハンター」もなによ、「中級 水路跡ハンター」に?
うーんなんだかなあw
昨年お手伝いさせていただいた暗渠本『東京「暗渠」散歩』も、
もしかしたら『東京「水路跡」散歩』?

これはいかんですねw
こうしましょう。下半分を表す「水路跡」というコトバを、上半分との対比をはっきりさせるために「ぬけがら水路」としてみます。
Photo

ちょっと落ち着いてきましたかね。

話を戻します。
いままで私が暗渠と言ってきたものは、上の図のような分け方ができますということです。
もちろんどっちも好きです。
狭義の暗渠」に対しては、
流れが目に見えなくなってしまったけれど、人知れずその地下でとうとうと水を流し続けている水のいのちのようなものを感じます。その暗渠として「第2の人生(川生)」を送る健気なライブさというか。
ぬけがら水路」には、
かつてあった流れと今の状態の対比からの栄枯盛衰というか、そこにある水の履歴の儚さを思って不思議な気持ちになります。そんなとき、今そこに地下にさえ水の流れがなくとも私には何かの流れを感じることができる、そんな感じ。以前何度かこのブログでもこういう場所を「形而上の暗渠」と呼んだりしてきたのはそのためです。

2 狭義の暗渠 の細分化

さてさて、「暗渠」と「川跡・水路跡」については一旦ここで整理がついた、
としましょう。
蛇足ですが、ついでですので「狭義の暗渠」をもうすこし分解して遊んでみます。
暗渠を追っているときどき
「古地図ではこのブロックを横切って川が流れていたんだけど、
今の下水道台帳では廻り道をするように道に沿って付け替えられてるじゃん」
というケースに当たりますよね。
そこで、

下水管がある・なしの縦軸に加えて、
自然のままの流路か・人工的に付け替えられた流路か
を横軸に加えてみましょう。

Photo_2
左上、自然のままの流路で暗渠化されたものを、「ナチュラル暗渠」と呼んでみましょう。
かつての水の流れがそのまま地下に移された、いわばそっくり川の生まれ変わりとして暗渠になっている状態。
いっぽう右上は、宅地化や区画整理などによって本来の流れとはちがったところに暗渠かされたケース。これを「アレンジ暗渠」と呼びます。
まあ本来の川の表情に整形手術を施したようなものです。でも本来の流れから少しだけ変えた程度のものが多いでしょうから、「プチ整形」くらいですけどね。
というわけで、暗渠を追っていくうちに「地下の流れが直下にある・ない」と別れるところが出てきますが、あってもなくてもこ私はういう呼び名をつけることで両方を平等に有難がりたいなと思うわけです。

3 (付録)ぬけがら水路 の細分化

はさらにワルノリしてオマケ…。
同じ横軸で、下半分の「ぬけがら水路」を区分したらどうなるかな、と。
Photo_3
ひからびたぬけがらとなってしまっているところなので、こんな名前を付けてみましたー。

というわけで、たまに書いてるヘリクツ編。
今回は暗渠という言葉の私なりの定義づけでした。
ではでは今後とも、「暗渠」ハンターシリーズをどうぞよろしくお願いいたします。

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コメント

「暗渠さんぽ」などというタイトルでブログを書くのなら、最初に用語の定義をするべきだったのかも、
とも思いますが、当初は暗渠=川跡で下が下水道になっている、という狭義でしか把握していなかった
(いろいろなパターンがあることを知らなかった)わけなので、仕方がないと思うことにしています。
いまはざっくりと川跡の意で使うことが多いですね。
こうやって改めて整理していただけると、ありがたいです。

ところで、今回の話は「川跡」がひとつの軸になっているようですが、「暗渠」のなかには、
川跡とは関係なく、新たに地下に設ける管渠(排水目的等で)というのもありますよね。
付け替え、とはまた別に新設するようなものが。
土木系の論文ではそういうものが少なくない印象です(読み込んでいるわけではありませんが)。
それから、我々が普段歩くような、川跡ではない道の下にある無数の下水管も、「暗渠」ではありますよね。
そのたぐいの「暗渠」が第一象限の右端に置かれるのではないかな~、と思いながら読んでいました。


投稿: nama | 2013年5月15日 (水) 12時05分

連投すみません。
最もわかりやすい例は「分水路」かもしれません(これを最初に挙げればよかった)。
あれは川跡じゃないところに作られても、我々の認識は「暗渠」ですよね。

投稿: nama | 2013年5月15日 (水) 12時40分

まあ、はじめっから暗渠や水路について詳しいわけがないし、
最初から定義なんてできないと思いますよ、私も
暗渠のこと書き初めてしばらくたってからこのもやもやに気づきましたから。
そんな状況でも、namaさんも私も
よく最初から「川跡」とかの言葉を使わずに
「暗渠」という言葉を選んだものですねえ。お互い見ず知らずだったのにw
さてご指摘の通り「分水路」はこのマトリクスに入れようと思うと
右上の象限かと思います。
ただ、このマトリクス作るときに結構迷ったんですが、
それぞれの象限が、それぞれの切り口でまたいろいろに枝分かれしていくような状態にあると思います。そう、曼荼羅みたいに。
枝分かれは決して「細分化」という意味ではなく、単なる「分類」。
なので、右上象限を軸にマトリクス切ったらいつの間にか
左下象限の一部が紛れ込んでる、とかとか。
なかなかこの世界も広いなと思いましたw

投稿: lotus62 | 2013年5月16日 (木) 09時13分

な~るほど、と思いました。
一応拙者の場合の探索こだわり(?)としては、
ナチュ暗 と アレ暗の探索のみにしてます。
ゆえに開渠の記事登場も多いです。
初期記事にはそうでもないのもありますけどね。。。
暗渠は続いていても、
その先に水が流れてなければそこで探索終了です。
みずみずしいお肌が好きなんですよ^^

投稿: YKK | 2013年5月16日 (木) 16時28分

YKKさん
そうですか、「ぬけがら」には萌えませんかwww。
同じ暗渠者でも人それぞれツボが違っているのが面白いです!

投稿: lotus62 | 2013年5月17日 (金) 09時11分

こんばんは。
東京南部に棲息しているBrowny@R134と申します。
以前、谷戸前川のことを調べていた時にこのブログの存在を知り、以来楽しく拝見させていただいております。

自宅の近くに羅漢寺川と品川用水の跡があります。
前者は川は蓋がかけられ下水道として供用され、
後者は水路は埋め立てられていますが、
どちらも広義の『暗渠』として認識しています。

どちらも地上から見ると、川、水路の流れの跡があり、ひとの生活の潤いがあります。

川は、地下に流れがなくなったとしても、その魂までは失っていない・・・
まわりのどこかなつかしい風景、地形、家々、みどり、土、風のにおいを、そんなふうに感じながら、
『暗渠』を歩いています。(^-^)

投稿: Browny@R134 | 2013年5月18日 (土) 00時22分

即身水路にはまりました。
ところで私もこの手の問題で悩んでいたとこなんです。
namaさんのコメントに近いですが、道路に付帯する「暗渠」の「側溝」を「街渠」と呼ぶ向きがあって、その使い分けがよく分からない。でも、業界の人も適当に使っているみたいで、結局ここにいる我々だけが大マジメに悩んでいる、っていう構造が面白いなあと思いました。
ドボク業界の人が「あすこのアレンジ暗渠A工区の付け替えにミイラ32号の交差が支障してっからよ、即身水路25Aのアレ暗(アレンジ暗渠の略)化っちゅうことで設計変更しといて」とかいう会話をする日が来たら素敵ですね。

投稿: 大石俊六 | 2013年5月18日 (土) 23時32分

Browny@R134さん、いらっしゃいませ。ご愛顧に心から感謝申し上げます。
ご自宅のあたりは、品川用水を背骨にして西に東に大小の谷頭が刻まれる、水の流れが豊富でエキサイティングなところですね!
それだけに、身近にいろいろな暗渠(広義ですw)の様態を見られているのではないかと思います。
>地下に流れがなくなったとしても、その魂までは失っていない・・・
そうですよね。
たまに何か悩みがあるときも暗渠を歩いていると
「それでもオレたちゃこうして『川』やってんだから、あんたも孤独だろうがもうちょっとがんばってみたらどうよ」
なんて励まされたりもしていますw
どうぞ今後とも、お気軽にコメントいただければと思います。

俊六さん、声を出して笑ってしまいましたww
それはそうと「街渠」は初めて聞きました。へえー、ですね。
語感からは、もともとあった水路というより
街にあふれる雨水とかを流す溝、
みたいな感じですかねえ・・・。確かにこれは位置付け難しいですね。
しかしながら使ってみたいコトバです。街渠。…街渠ハンター…街渠散歩…

投稿: lotus62 | 2013年5月19日 (日) 05時54分

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