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暗渠ハンター ヘリクツ編 「暗渠の愉しみ」3原則。

ちょっと今回は思い立って理論編(というかヘリクツ編ですw)を。
文体もいつもと変えてお送りします。
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「暗渠」っていったい何が楽しいの?というご質問を時折いただくことがある。
愉しみ方は人それぞれだし、萌えポイントなども微妙に細分化されているのだと思うが、概していうと3つにに集約できるのではないかと思う。

それを、暗渠者をして暗渠界を成立せしむる『暗渠3大愉楽』と呼んで以下のように整理してみた。

3_2 

少々説明を加えよう。

1 【隠れていたネットワークが見えてくる愉しさ】
特に東京は谷が多い。谷があれば大抵水が流れている(いた)。これを辿ると、普段見慣れた地図上でののつながり(たいては鉄道や道路等の「交通網」)以外の「水路網」が浮き上がってくる。
さらに江戸時代から開削されてきた「用水・上水」があるが、こちらは遠くへ遠くへと水を運ばねばならぬため台地上の尾根を通している。
「尾根を通る用水」と、尾根を谷頭にして始まり谷を流れていく「自然河川」とを重ねてみると、地形と表裏一体となって、動脈と静脈の関係のように東京じゅうに張り巡らされている「大・水路網」の一大パノラマが見えてくる。
これを現地調査を踏まえながら一つひとつ頭の中で繋げていく作業が、まるでパズルを説くように愉しいのだ。

2 【隠れていた歴史が見えてくる愉しさ】
「愉しみ1」が3次元的な要素だとすればこちらは4次元的。
川がなくなってしまった(暗渠化されてしまった)経緯を調べていくと、その土地固有の歴史にぶち当たる。さらにそれは大きな東京史・日本近代史という大きなトレンドに左右されていることがわかってくる。今立っている土地の履歴が明らかになる過程で、地図を見るだけでは感じられなかった愛着もわいてこよう。それが自分に縁のある土地ならなおさらだ。
これまた時間のパズルを解いていくような愉しみがある。

3【見過ごしていた「かけら」がみえてくる愉しさ】
現地に行ってみると、たいてい橋の遺構や護岸、車止め、銭湯等々数々の「暗渠サイン」と出会うことができる。普段見過ごしていたオブジェクトが、「愉しみ1」「愉しみ2」と照合することで大きな意味を帯びてくる。
その失われた川が残した「かけら」を見つけることにも、愉しみがある。

当然、この3つのバランスは一人ひとり、あるいはその時その時で違っているであろうが、それぞれこの3点が作る平面上にプロットできるのではと思っている。
例えばこんな感じに。

Photo

ちなみに私は、
元々暗渠の佇まいにどこか共感を覚え、
その後暗渠を巡るたびに目に入ってくる暗渠サインが気になって、
その後で目前に広がってきた水路のネットワークに萌え、
気が向けばその経緯や歴史を調べたりする、
という暗渠性向なので、
こんなグラデーションの状態なのかも知れない。

Photo_2

みなさんは、どう?



★2014.9.27追記

今回の内容は、若干アップデートした上で次のサイトに寄稿いたしました。

どうぞご参照ください。

MIZBERING 「水のない水辺から」

マトグロッソ「スリバチに誘われて」エピソード23 これぞディープ東京、暗渠散歩のススメ

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2080 ・・・暗渠・川筋で拾ったかけら」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
小生的には....
①「ん?」って思う「かけら」が気になって、
②「なるほどね」って思う「ネットワーク」を確認する
③「なんだそうなんだ」って思う「歴史」にまで興味がひろがる
というところでしょうか :-)

先日は、桃園川(暗渠)を中野駅周辺から中野坂上周辺で神田川に注ぐところまで、散策してみました。
まさに上述の①~③の楽しみをしてきたところです。

投稿: Weekend Outdoors | 2013年2月15日 (金) 23時40分

こんにちは。ツイッターでも追わせて頂いてます。確かに私も暗渠に心惹かれるのはこの3要素ですね。重力まかせに水は低い所を辿り、その時間的蓄積が湧水や自然河川の位置を徐々に確固たるものにしてきたのに対し、自然河川の歴史的スケールに比べれば物凄い短期間で造成された用水路は低い所を避けて延伸されることによって役割を果たしていて、そこには重力を殺しながら距離を伸ばす人間の知恵が組み込まれている…。同じ水の流れでもこの点対称さが面白いと感じています。だから現存する開渠も興味深いです。

投稿: kohmoyoron | 2013年2月17日 (日) 16時30分

Weekend Outdoorsさん
おお、末広橋まで行かれたんですね!私もあの合流地点で「地下に隠れてかしこまっていた桃園川が一気にその存在を露わにする」ような風景が好きですー。
①→②→③と視点が移られていくんですね。やはり Weekend Outdoorsさんらしい「写真の人」という感じで妙に納得ですw

投稿: lotus62 | 2013年2月18日 (月) 09時21分

kohmoyoronさん
コメントありがとうございます!
そうですね、自分も、用水と河川のことを知る前は「単なる水路(川)」にしか見えなかったものが、その陰と陽みたいな対称性に気付いた時には世界が広がったような感動を覚えましたw

投稿: lotus62 | 2013年2月18日 (月) 09時22分

興味深いバランスシートですね^^

投稿: YKK | 2013年2月27日 (水) 23時54分

YKKさん、ありがとうございます。
もちろんその時の気分や、素材となる場所によってずいぶんバランスは変わると思います。
「自分の書いたもの」を自分でどう位置付けたらいいのかな、っていつも思ってて、こんな考えに至りました。
YKKさんはどんなバランスでしょうねーw。

投稿: lotus62 | 2013年2月28日 (木) 13時03分

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