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2012年8月

暗渠ハンター<脱構築版> 大田区六郷用水の末路から

【前口上】
かつて取り上げた場所(や、書こうと思って放っておいたと場所)も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくことにします。

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大田区・大鳥居。
京急線の駅の北東には、六郷用水の末端である南前堀、北前堀、六間堀がそれぞれ海老取川に合流していた。いまはどの堀も埋め立てられ、緑地公園となっている。
写真は南前堀と六間堀の合流地点。上を通るのは首都高羽田線。堀の埋め立ては比較的新しく、昭和50年代だ。
Imgp9317
合流先の海老取川とは、羽田空港を隔てる短い区間を流れるものでもう殆ど海、運河といっていい。

...
埋められた3つの川の地下はおそらく下水道として使われているであろうが、こういう河口近くではどんな敷設状況になっているのかと東京都下水道台帳を確認してみる。もしかしたら川の流れと同様に、埋められた下水道は海老取川に垂れ流し…?

なわけはなかった。
河口付近では下水道は川と反対方向に流れており、ある地点から六郷川幹線という大きな流れにに合流。
さてこのあとはどこに行くのかと追っていくと、なんと開渠である呑川の下をくぐって(おそらくここには麻雀牌が横に連なったようなマンホールがあり、サイフォン式で下水が流されているであろう)、その北東にある森ヶ崎水再生センターまで繋がっていた。
なるほど、当たり前だがこういうことか。改めて、下水道は処理場をちゃんと通過していて、垂れ流しではないよという事実を認識。

では何世帯分の処理が可能なのだろうか、と思って森ヶ崎水再生センターをググってみる。


なんと処理範囲は大田区に留まらず、品川・目黒・世田谷の殆どと渋谷・杉並まで及んでおり、日本最大規模を誇る施設とのこと。

結構ここにお世話になってんだなあ…いろいろと

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暗渠ハンター<脱構築版> 鮫河の菩薩

【前口上】
かつて取り上げた場所も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくことにします。

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尾根道である新宿通り、四谷三丁目辺りから若葉の谷を下っていくのが鮫河(赤坂川、桜川とも言われる)だ。
水源は、谷頭付近の日宗寺近辺。これに、そして西の高台下の若葉公園の湧水を集めた支流が総武線の手前で合わさって流れていく。さらに信濃町から続く千日谷の流れが合わさる現・南元町公園辺りは大きな湿地だった。ここに架かっていたのが、鮫河橋。
この後この流れは赤坂御所の敷地に入り、溜池方面へと向かっていく。

日宗寺下に住む古老の話では、大雨が降ると上の寺の池にいるコイや金魚が流されてきたという。
また鮫河周辺には昔からたくさんの小規模な住宅が密集しており、その生活排水もおそらくここに流されていたはずで、今でも鮫河に向かって何本も「どぶ」の跡のようなものが確認できる。
昔はそのどぶに蓋がなかったので、雪の日は足元を見誤ってどぶに落ちてしまうことも多かったらしい。
どぶは戦後に蓋が掛けられ、今はさらにアスファルトで埋められている。
どぶの傍らに立つ古い観音菩薩さまは、きっと蓋のないころからその景色を見てきたことだろう。

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暗渠ハンター<脱構築版> 池上・弁天池下流、暗渠沿いの花畑

【前口上】
かつて取り上げた場所も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくことにします。

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池上本門寺の横、というか麓にある弁天池。
ここから呑川に向かう流れの一部を見ることができる。もちろん暗渠として。
住宅の間を抜けていき、果ては行き止まりになる水路だから、ちょっと付近の住人でもないと入りづらいところ。
しかしたまたま入口のお家の方が高枝切りばさみで庭木を手入れしていたので、
「お邪魔しまーす」と声を掛けて入っていく。
気分の問題だが、正しいことをしたような気持ち。
普段通る人もないようで、続いているのは蜘蛛の巣さえ張る路地。
しかし住宅の広い庭や本門寺の敷地と金網で隣接しているので思ったほど暗くはなく、
むしろ解放的な道だ。

この日はまだ春。本門寺敷地側には、ハナダイコンが満開。
あまり人の目に触れていない景色なんだなと思うと、贅沢な思いに。

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暗渠路地を出るときは、高枝切りばさみの方の前で満面の笑みを拵え
「ははは、行き止まりでしたー」と声を掛け、怪しい者でないことをアピールして探索終了。

場所は、大田区池上1-16付近。
以前ろっちさんも取り上げてらしたところ

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暗渠ハンター<脱構築版> 環七から異世界へ。

【前口上】
かつて取り上げた場所も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくことにします。

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大田区南馬込、なんと環7の歩道から覗き込める場所に開渠発見。

これは、南馬込1丁目の台地から横須賀線を横切り、時計回りに大地を下って環7横に出てくる川跡。

この後、東馬込の谷からの支流、馬込小学校付近の谷からの支流らとあわさって
池尻堀(山王の台地からながれでる川)と合流し、さらに内川・六郷用水と合流して、昭和島あたりで東京湾に流れ込む。

…あなたの身近なところにも、異世界への入口が拡がっているかもしれません。なんて、「世にも奇妙な物語」風のナレーションが頭の中に響いてくるようだ。

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暗渠ハンター<脱構築版> 小池から流れる小川の跡。

【前口上】
かつて取り上げた場所も、語り口やスタイル次第でリサイクルできるのでは? と思ったわけでもないですが、他所で「暗渠なんて殆ど興味ない人たちに向けて暗渠や川跡のことを書いてみたらどんな反応が来るか」という実験のために書いた文章を、暗渠ハンターの夏休み特別企画として、不連続で載せていくことにします。

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大田区にある洗足池はそこで湧いている水のほかに、
東の谷から「長原の流れ」、
北東の谷から「貉窪の湧水の流れ」、
北の谷から「清水窪の湧水の流れ」、
西の谷から「出穂山の下の湧水の流れ」と
4か所の水が流れ込んでできている。
池を出た水は洗足池駅のガード下をくぐって呑川へと注ぐのだが、
洗足池駅から横須賀線の高架あたりまは「洗足流れ」と呼ばれる綺麗にせせらぐ開渠が続いている。

洗足池は23区内でも有数の大きな池だが、
この「大きな池」に対して、すぐそば・長原駅の南の谷を下りたところに小池と呼ばれる「小さな池」がある。
小池とはいえ堂々たる大きさで、数年前まで釣堀があった。
現在は自治体が買い上げ小池公園として整備・解放されている。

この小池からの流れもまた、
大きなほうの池から流れ出る「洗足流れ」に合流している。
しかし「洗足流れ」とは対照的に、小池からの水路は現在暗渠化されて住宅の裏をひっそりと「流れて」いるのだ。
かつて水を湛えていたその水路は土で埋められているが、
途中のある地点からはコンクリの護岸と護岸に垂直にはしごのようにわたされている補強用の梁がわずかに確認できる。
かつて川であった事を遠慮がちに主張するように。

近所の方のお話では、開渠であった頃は雷魚などの魚がたくさん棲んでいて、雨が降ると水路から水が溢れ出し一面沼のようになった、という。

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