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暗渠ハンター理論編Ⅰ ロータス式の「暗渠マトリクス」を作ってみた

…谷戸川シリーズの途中ですが、なんとなく6月中に一発目をアップしたかったので並走シリーズをスタートします。

0 はじめに

2年ほど暗渠や川跡のフィールドワークをしてきて
けっこうケースも溜まってきたことだし
日頃なんとなく考えていた
「フィールドワークを通して暗渠を捉える体系」みたいなことの試論を、
今回は書かせていただきます。
いろんな捉え方があると思いますが、
以下はもちろんその中の一つの案に過ぎない、
とあらかじめお断りさせていただきますね。
ですが本人的にはこれらの体系を使って東京の川跡・暗渠を分類考察し、
いつか研究成果をまとめあげたい、
と本気で考えていることもあらかじめお断りしておきますww
※ちなみに以下ここで使うマトリクスは
「ロータス式暗渠マトリクス」(略称LAM)と呼ぶことにしますw 
え?だから何だよって?ww

↑↑↑7/6付記:
「LAM」と当初は命名しましたが、
自分の名前を織込むという売名行為wの浅ましさにあとになって気がつき、改名することにしました。
「暗渠を見るときのひとつの見方」という意味で、
ANGLE(アングル)
と呼ぶことにします。
これは、ANkyo General Level Explorer
の略でもあります(ここに並んでる英単語は予告なく変える場合もありますww)。
『この川跡を暗渠ANGLEで見ると、こんなことが言えそうだな…』とか
より多くの方に使っていただけるようになると私は幸せです。

1 暗渠・川跡の分類

①横軸「加工度」による分類
まずは、対象の「加工度の大小」での分類を試みてみます。
結論から言えばこうです。
Photo

では以下ご説明します。
加工度の大小を、最もわかりやすく区切るとすれば
やはりまずは水面を隠そうとしているか・していないかでしょう。
それでまずは2分割したうえで(図の下のところ)、
さらに加工度に合わせてレベルを振り分けてみました。

レベル0 (ほぼ天然):ほとんど加工されていない天然の状態です。土手や川底なんかも土だったりして。都内では相当に貴重な状態です。
干上がってしまった水のない状態」も、本来の水面を隠そうとしていないという理由でここに入れましょう。

レベル1(加工開渠):護岸整備をしてるとか、「はしご式」加工をしているけど基本的に水面は露出させている、というのがこのレベル。暗渠を追っていて突然このような状態に出っくわすと、レベル0ほどではないけどけっこう感動しますよね。水面が見えるってやっぱうれしいです。

レベル2(蓋暗渠):さあここから右側は水面が見えない状態。ほんとうの「暗渠」となります。
ちなみに自分的にはそこに土管が埋まってなくても、川跡・水路跡であれば「形而上の暗渠」と捉えています。
さて、もっともお手軽な暗渠加工といえば、「とりあえず蓋する」ことでしょう。
だから「鉄板蓋暗渠」や「木材蓋暗渠」なんかがこのレベル。しかも不揃いの素材での蓋はレベル2でも左寄りで、素材の統一感があればあるほどレベル2の中でも右に触れてきます。つまり「コンクリ蓋暗渠」はかなり右寄りで、杉並によく見られる「美しいカーブを描くコンクリ蓋暗渠」などはレベル2の最右翼といえるでしょう。
このレベルの状態は、時にトリッキーだったり7変化したり芸術的だったりして、
非常に暗渠そのものの「鑑賞性」が高い物件が多いことが特徴です。

レベル3(埋設暗渠):さらに加工度が上がると、本格的に流水を地下に埋蔵工事する、ということになります。すなわちヒューム管等が埋められ自然流下式の下水幹線となっている状態。
車止めに囲われた舗装暗渠道」などはこのレベルの最も左側に位置づけできるでしょう。あとは「未舗装暗渠」なんかもそうですね。
で、だんだん右に行くに従って「不自然に広い歩道」とか「ほとんど一般道と見分けがつかない暗渠」が当てはまるようになります。
レベル2ほど「写真映え」はしませんが、
私的にはこの状態がいちばん「心象風景としての暗渠」「心のメタファーとしての暗渠」を感じます。見た目が派手(?)じゃない分、心で感じることが多いです。それと、暗渠の持つ「もはやだれからも有難がられない存在」としての哀しさが最も顕れる状態がこのレベルなのではないでしょうか。
きわめて内面的な衝動をくすぐる暗渠の状態であるといえます。

レベル4(過整備暗渠):これはもう加工の極み、ですね。本来の川跡を隠す・埋めるだけでなく、新たな存在感を作り上げている状態。すなわち「緑道」です。
北沢川緑道など、世田谷区によく見られる「暗渠の上の再生せせらぎ」等は、このレベルの最右翼でしょう。ここは好き嫌いの分かれるところかもしれません。
ですが、暗渠ファンでない一般の方々には「きれいな景色ね♪」としきりに有難がられる存在でもあるでしょう。あるいは、このような状態に出会うことがきっかけになって「なんでここにこんな道やせせらぎがあるんだろう?」と暗渠道に入り込む勧誘装置としての機能も期待できそうです。

また、暗渠につきものの

橋跡などの遺構
湧水
車止め
銭湯、クリーニング店、染物店、豆腐店
バスターミナル
・学校や団地

などなど数々の「暗渠サイン」は、
それぞれのレベルの川跡に付帯する「アプリケーション」
として捉え、後々「どのレベルにどのアプリケーションが頻出するか」
などの考察を行っていきたいと思います。

さあ、あなたが今日訪れた川跡は、
この横軸のどこに位置づけられるでしょう?そしてそのとき、どんなことを感じましたでしょう?
長くなってしまったので以下はやむなく連載にしますね。
以下は、こんな展開になります。

1 暗渠・川跡の分類
 ①横軸「加工度」…
これが今回。次回からは、
 ②縦軸「もともとの状態」…もともとの水路の状態を「静脈系」「動脈系」として縦軸にとる手法を提示します。
 ③縦横マトリクスによる物件の分類…①の横軸と②の縦軸を組み合わせ、暗渠や川跡を分類してみることを提案します。

2 暗渠・川跡の全体把握
 …
①の横軸に、こんどは「上流」「下流」の縦軸、つまりいわば「タイムライン」的な軸を足すことで、「その川跡が上流から下流までどんな変化を辿っているか」を表すことができます。その手法と今後の「川跡の類型化」の可能性をご紹介します。
またあくまで構想ですが、この横軸・縦軸にもう一本奥行の軸を加えて3次元マトリクスにすることにより、過去と今の時間軸で川跡の状態を把握できるモデルもお話してみたいと思っております。




ということで、とびとびになると思いますが、
何度かこのシリーズ続けますね!

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コメント

マトリックスに各案件がどのようにプロットされていくのか、興味深いです。
ぜひ次回みちくさ学会発表会で発表を!

投稿: HONDA | 2011年6月30日 (木) 23時39分

HONDAさん
コメントありがとうございます。
「理論」なんで大げさに書いてしまいましたが、
単なる思いつきに近いので、皆様からのご意見や反応大変ありがたいです。
(市場調査なんかでも、「分析結果です」ってお客様のところに持っていくと
「んー。当たり前の結果になりましたね」なんて言われることも多いですからねw
でも当たり前の結果でも、構造化の切り口や見せ方で評価いただけることもあったりして。
なかなか難しいですね)
発表なんてできる内容になるかどうか甚だ疑問ではありますが、今後もどうかご感想をいただけると助かります。

投稿: lotus62 | 2011年7月 1日 (金) 11時01分

アプリケーションという捉え方に心を打たれました。
どのレベルにどのアプリケーションが頻出するかっていう視点も面白いです。
そしてそれは関数として予測できたりするのか!
自治体別に見た場合、都市部ほど高レベルで農村部ほど低レベルになるのか?それとも、
ニュータウンほど高レベルで旧市街地ほど低レベルなのか?あーもう気になって仕方ないですね。

LAMによれば私の関心領域はレベル1.5くらいのとこかなあ。

投稿: 俊六 | 2011年7月 1日 (金) 20時03分

俊六さん
おお!まさに私もそういう面白がり方がしたくてこのお話を書きました!!
嬉しいです。
事例をのっけていくことで、
ふだん、「なんか○○な傾向ありそうだよなー」なんて思ってることを
ある程度きちんと記述できたらなあと思っていました。
おっしゃるとおり、自治体別の力の入れよう、
都市部と農村部の違い(宅地開発の歴史の違い)、
同じ川でも上流から下流にいくことでの顕れ方の違いなどなど、
何か傾向がつかめたらいいなあと思っています。

この後4~5回ほど続く予定ですが、
折々お考えをお聞かせいただけるとたいへんありがたいです。

投稿: lotus62 | 2011年7月 4日 (月) 09時15分

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