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暗渠ハンター 馬込山王・楓谷を歩く

前回は大田区馬込付近の、池尻堀につながると思われる
「大仏支流」を追いました。
さて、せっかくここまで来たので、
大田区名物(?)の「馬込山王・楓谷」(ろっちさん命名)
北のほうの谷を横切って帰ろうと思います。
ほんとこの楓谷は見どころがいっぱいで、
足腰も鍛えられますw

立ち寄ったのは、この地形図の
「この谷A」「この谷B」。

2

まずは「この谷A」に環七からつまり下流からアプローチ。

実はここは、この記事を書いた時に猫またぎさんから
「その裏にすごいとこあるよ」と教えていただいて、
立ちよらなかったことを激しく後悔したスポットでもありました。

「不自然に広い歩道」くらいしか暗渠サインは見当たりませんが、
この道は十分谷底感が味わえます。
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まっすぐ登っていくと、萬福寺というお寺が小高い丘に建てられています。
Imgp9587

入り口には「するすみ」の像が。
え?するすみって何だって?
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漢字では「磨墨」。

平家物語の「宇治川の先陣」に出てくる名馬の名前です。
いやー、高校の教科書で出会って以来このストーリーは
全く忘れてしまっていたのですが、この馬の名前「するすみ」ばかりが
妙に頭に残っていて、たまに思い出して「するすみ」と口に出したりしていましたw
なんか口に出してみたい日本語、じゃありません?「するすみ」。
ちなみに以前インターンではるばる会社に来たドイツ人は、
「デンシレンジ(電子レンジ)」という言葉が面白いといって、
自分で口に出しては笑っていましたっけ…。
確かに韻を踏んでて面白いような気もする。

あ、でその「宇治川の先陣」ってのは、
鎌倉幕府ができるちょっと前のお話で、源義経側にいる二人のオトコ、
するすみに乗った梶山某といけづきという馬に乗った佐々木某が、
合戦の途中で
「どっちが先に宇治川を渡って『やあやあわれこそは…』って
名乗りを上げるか」と張り合う短いエピソードです。
見事「馬に乗っての一番乗り」はするすみでなくいけづきになるのですが、
そのあと徒歩(かち)で渡ったのが大串某。
この大串某があまりにもちゃっかりしてたため敵味方ともにウケた、
というお話。

横道にそれましたが、
そのするすみの持ち主である梶山某縁のお寺だそうです。するすみ。

さてこのお寺の丘を挟んだ反対・北側にももう一つの谷筋があります。
もうこの辺は先のろっちさんの記事に詳しいので要点だけ。
これが北側の崖。
Imgp9596

この奥には、「飛び出しすぎるマンホール」(ろっちさん命名)。
トンデモない物件ですw
ロールケーキを思い出して、
食べたくなりました。
Imgp9597

この先は鉄板暗渠や開渠やコンクリ暗渠と目まぐるしく変態して
流路が続きます。

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そしてさらに北にはこれに並行する開渠(南馬込1-41)や、
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その下流で垂直に交わる暗渠が二つ。
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(このタイプの蓋、実物は初めて見ました!珍種ですね)

これらの暗渠は、環七手前で暗渠らしさが消えてしまいますが、
おそらく冒頭のするすみのお寺前の流れと
お寺の丘の突端で合流して
前回の大仏支流同様、池尻堀と合流していくものと思います。

まあ便宜上これらを「するすみ支流群」とでもここでは呼んでおきます。
あくまでもするすみw

んで次は「この谷B」へ。
ここは、もともと六郷用水関連の地図で知りました。
短く小さく、暗渠の記号が書かれていたのです。
どこから出てどこへ行く流れかもわからずに、
それだけを手掛かりに訪れてみました。
しかし家に帰って細かな地形図に照らし合わせてみると、
この楓谷につながる小さな谷頭だったことがわかりました。
(現地にいるときは、「きっとすぐそばだから内川に注ぐのかなあ」
なんて考えていました)

するすみ支流群から蛇坂という坂を横切ってて、
南馬込1-32にたどり着きます。
そこかた唐突に始まる暗渠がこれ。
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もうすこし中をのぞいてみましょう。
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がっちり閉ざされた空間。
もはや誰からもありがたがられていない場所。
それどころか誰も見向きもしない場所。

1-32のブロックの反対側に出て覗いてみます。
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この暗渠はさらに北側の1-31に続くのですが、
そこからは傾斜ががくんと急になり
谷底に落ちていくような感じになります。
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そして谷底はマンションややや古めの住宅になっています。
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なんでこんな急な傾斜になるんだろう…。
水があったとしたらそれこそ滝のように流れ落ちていたはずです。
これもあとで調べてみたいですね。

追えるのはここまで。
その先は新幹線&横須賀線の線路にぶち当たります。
地形からするとこの線路を越えて環七の通る谷筋に合流、
結局は谷頭から見て環七沿いにぐるっと
時計回りの半円を描いて池尻堀へと合流する、
そんな推測ができそうです。

今回の「ミッシングリンク」は、
いつかまた現地で検証してみたいと思います!

より大きな地図で 池尻掘・六郷用水北堀・内川 を表示

※2011.7.18追記:大田区の小学校史の記事に、「環7内側・山王近辺の谷からの流れも内川の源流のひとつ」である旨の記述を見つけ、池尻堀も内川水系として扱うことにいたしました。

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2031 ・・・立会川・内川水系」カテゴリの記事

コメント

後半のがっちり閉ざされた空間の暗渠ですが、ここにも大田区蓋がありましたよ。
googleのストリートビューで見ると以前は通れたみたいです。今は全く入り込めないのが残念ですねぇ。
そしてこの暗渠の延長線上。横須賀線の歩道橋の下には『下水管軌道伏越』の表示がありましたので、横須賀線を横切って環七方面へ流れているのでは?と思われます。
あぁ早く自分の分の記事を書かねばならないですね。はい。がんばります。

投稿: ろっち | 2011年5月22日 (日) 18時13分

「するすみ」、いいですねえ。
「デンシレンジ」はちょっとピンと来ませんでしたが。
そこらはやはり外国人の感覚ですね。

「この谷B」の存在は全く気がついてませんでした。
大森の九十九谷は何度か行きましたが、奥が深いですね。
馬込だけはほぼ踏破したとは思いますが。

ろっちさんはさすがによくご存じですね。

投稿: 猫またぎ | 2011年5月23日 (月) 09時29分

ろっちさん
おお、この谷Bにも大田区刻印蓋がありましたか!
気づきませんでした。そしてさらに『下水管軌道伏越』とは!!
なるほど下水道台帳を見るとここで跨いで環七方面に道沿いに蛇行してますねー!逆にここで取り上げた川跡を見ると下水管は埋まっていない模様。もうほんとに「何にも使われていない、ただの細長い空き地」になってしまってるんですねぇ(<こういうの結構ツボw)。
今回はたくさんろっちさんのネタを踏襲させていただきました。ありがとうございました。

猫またぎさん
するすみ、わかっていただいて感謝ですw
(あといつかTVで、「かたくりこ」も可笑しいっていう外国人のコメントを見たことがありましたw)
猫またぎさんも早くから「馬込」を推してらっしゃったし、お詳しいじゃありませんかw 今回の現地調査でも結構猫またぎさんの周辺記事、参考にさせていただきました。ありがとうございました。

投稿: lotus62 | 2011年5月23日 (月) 11時38分

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