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暗渠ハンター まえに行った小沢川のこと

暗渠仲間であるnamaさんリバーサイドさんHONDAさんえいはちさんらが巡ったという、杉並区から神田川に注ぐ小沢川。
実は私も去年にいってきたのですが、タイミングを逸してここに書きそびれていました。
今回は、そのエキサイティングな小沢川を、遅ればせながらレポート。
小沢川の感想をひと言で言うと、なんだかミステリアスな佇まいでかなりいい味醸してる暗渠でした。
とはいっても行ってからずいぶん時間が経ってしまったので、
いざ書くとなっても当時のようなテンションには戻れないなあとw
なので、いつものレポートのトーンではなく、
人格変えて遊びながら書き進めてみることにします。
そうですねー、書き手のトーンの設定としては、
「かつての川の清らかな流れを想いすこし感傷的になっている、エキセントリックな空想をしがちな人(昨日会社でちょっといやなことがあってすこし落ちかけてもいる)」(<決して素の私ではない)
あたりで行ってみましょうかね。
低く呟くような声で読んでくださいね、黙読するときもね。

・・・・・
杉並区の南。環7から小さな階段を下りて細い道に。環7の喧騒とは対照的な、ちょっと黴の匂いさえしそうなその小径が小沢川の暗渠だと知ったのはつい先週のことだ。

「オザワくん。きみは、怪我でもしているのかい?」
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その小径は、まるで骨折した腕に巻かれたギプスのような、工事フェンスと鉄パイプの連なりから唐突に始まった。「怪我」が癒えてこの鉄のギプスが解かれる日は、いつになるのだろうか。

少しずつ歩を進めると、いきなり遺構らしきものが目に飛び込んでくる。
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川に下りる階段でもあったのだろうか。後ろの石垣とは明らかに別の目的で作られたコンクリートの塊。もはや用途も見失い、いまは赤いパイロンに守られてどっかりと腰を下ろしたままのそれは、私たち暗渠者にしか見えない蟲なのかもしれない。

緑鮮やかに苔むす護岸。
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薄暗いグレイのグラデーションが続く暗渠道で、アスファルトの下から微かに発せられる生気を吸収しながら、ゆっくりと息を吐き出すようにふわりとやわらかい緑の光を発しているようにも見える。かつて川が育んでいたであろうあまたの命のうちのいくつかは、まだこうして優しく生きながらえているのだ。

瓦?乱雑に置き去りにされているだけなのか?それとも誰かがある意志と計画を以って作ったものなのか?
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一枚一枚が重なり合って見せるその模様は、どこか遥か昔の有機体が圧しし潰されてできた化石を思わせる。それは、私が知らない歴史の重みを一瞬だけ垣間見せてくれる、静かな博物館の展示物のようだった。

足元。かつての川面に、可愛らしいハートのマークにも似たまだらの苔を見つける。
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小沢川に対して、「静かに訥々と昔を語るお爺さん」のイメージを持ちかけていたが、ひょっとすると意外におきゃんな今時の娘さん、なのかもしれない。・・・と多少無理に想像をしながら、また改めて周りを見回してみるのも一興。

そんなことを考えて歩き進むうち、くるくると人格を変えて立ち現れる川の妖気に弄ばれているような気持ちになってくる。この川は妖気に満ちている。足下で退屈している小沢川が、ここを歩く人間のチューナーを変調させてはアスファルトの下でぐふぐふと嗤っているのではないだろうか。それならば今の私は、よろこんで小沢川の相手をしてあげよう。

溶け出すようなコンクリートから唐突に突き出る茶色の陶製パイプ。諸星大二郎が描く妖怪の一部のようでもある。
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地下に埋められた川の暗い流れと呼応するように、妖怪はぐにゃりとやわらかいコンクリートからこの茶色の器官をまさに今、延ばしはじめているのだ。・・・と無理に想像してまたまた辺りを眺め直してみるのこれまた一興、あわせて二興。

・・・・いかんいかん、疲れて設定と文体が乱れてきたw それになんだか知らないうちに怪奇趣味に走ってるしw もうこの筆づくろいは限界かも知れません;;;;。素に戻ろうかな、でももう少し頑張ってみようかなw

すらっと伸びるステンレスの車止めが目に入ったところで、はっと正気に返る。やっと妖気から解放され「いま」に戻れたようだ。
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しかしまだ残像は続く。私は、ステンレスにぼんやり映る自分の姿と小沢川を通ってきたこの自分自身がとが脳味噌の中でハレーションを起こしているのを、快とも不快とも決めかねるような態度で立ちつくしていた。

・・・ああだめだ、もうこっぱずかしくって続けていられない・・・これ企画倒れだな。もうやめよう、やめます。私が悪かったですw

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神田川に注ぐ直前に、ちょうど金太郎が現れてくれたし、潮時だぁ。 

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コメント

lotus62さん、いよいよ作家デビューですかw?詩的な文章、スゴイです。
でも、小沢川でこんな文章を書きたくなるってわかる気がします。レトロな雰囲気が漂っていますからね。
私もそのうち再訪して、モノクロやセピアの写真を撮ってみたいと思っています。(割と家から近いのですが、いつでも行けると思っていると、かえって足が遠のいてしまうんです)

投稿: リバーサイド | 2010年3月 3日 (水) 23時26分

いやいや、素晴らしい文章でしたよ。
森本レオの真似で音読させていただきました!

投稿: えいはち | 2010年3月 4日 (木) 01時12分

リバーサイドさん、えいはちさん
いやはや失礼いたしました;;;無理に被る仮面はすぐに落ちちゃうものですね(恥)。
ナレーションのライターには絶対に向いていないとわかった成果の大きな実験でしたw
それはそうと小沢川。「妖気あふれるような」というのは辿ってみてなんとなく実感しました。
短いけど、なんだが魅力が凝縮された暗渠ですね、ここは。

投稿: lotus62 | 2010年3月 4日 (木) 12時20分

おお!小沢川!まさしく昨日、この川の上を散歩いたしました。
ほかの暗渠とも違う、えもいわれぬ魅力のある暗渠だと思います。

杉並区で暗渠を探した人なら皆、金太郎には特別な感情を抱くのではないでしょうかw

投稿: 味噌max | 2010年10月 7日 (木) 11時52分

味噌maxさん
コメントありがとうございます。
小沢川、いかれましたか。
環7からチラ見できる入口からして魅力的ですよねえ、ここは。
私は金太郎さんとここで初めて出逢った思い出の場所でもありますww

投稿: lotus62 | 2010年10月 7日 (木) 12時52分

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