暗渠マニアック!ここが見どころ読みどころ③

暗渠マニアック!』の第3章は「境界と暗渠」。
ここで吉村は「遊郭や城を囲む境界としての暗渠」を書いていますが、
私は「データで探る『区境の暗渠』の全体像」を書いています。
ここでの私の内容は、
『東京人』2015年5月号に寄稿した2つの記事をベースに仕上げました。
その時『東京人』の締切がきつかったなぁw
版元である都市出版の鈴木副編集長と初めてお会いして打合わせした時に、
「区境の暗渠のリストみたいなのを持っていないか」
と聞かれたのですが、
もちろんそんなもの持っているわけがありません。
でもあったら楽しそうだなあ…。
そこで区ごとの特徴なんかが出てきたらもっと楽しいなあ…。
と思い「では作りましょう」とお引き受けしたものです。
ですが、実質2週間ほどの期間でのこのリスト作りはマジ大変でした。
愉しかったけど。
開渠はともかく、暗渠(昔水路だったかどうか)を区境上で確認するのは、そしてその証拠をつかむことは大変困難でした。
愉しかったけど。
地図をじろじろ眺めては訂正・追加の繰り返しで、
『東京人』の記事入稿後までも修正を繰り返しての作業でした。
愉しかったけど。
短い水路、誰も忘れてしまったドブなどを含めると、
きっとまだまだこのリストも漏れがあるに違いありません。
事実、『東京人』発売から3か月後に世に出たこの『暗渠マニアック!』でも、
数か所の修正が入っているくらいですから…。
しかしここで苦労しておいたおかげで、
『暗渠マニアック!』のこの章は比較的ラクに書けたわけですし、
3月29日にお台場カルチャーカルチャーで実施の
私の演目のベースにもすることができたわけです。
(写真はniftyの鈴木だみあんさんにご提供いただきました)
0357_xlarge
いやーあんときの苦労がね、こうしてね、いろんなところにね…。
努力は裏切らないね。
なんて気分に勝手になってるわけでして…。

ちなみにこの「区境暗渠の本数リスト」を『区境暗渠データ帖Ver.1.0』とするなら、
本数でなく距離を測ってプロットしたものが『Ver. 2.0』といえることでしょう。
いま、この制作にちまちまととりかかっているところです。
「暗渠マニアック! 2」がもし出せるなら、
『区境暗渠データ帖Ver.2.0』はそこで発表させていただきます!
*****
この章では、
都内の「開渠または暗渠の区境を抱える公園」についても書いているのですが、
スリバチ学会のフィールドワークなどでよくお会いする方からこんなご指摘もいただきました!
1
うわほんとだ漏れてた;;;;。
ご指摘ありがとうございます。
確かに漏れておりました。
ここでお詫びさせていただくとともに、
次の機会で補記訂正させていただくことをお約束します。
yookudさん、どうもありがとうございました‼

| | コメント (0) | トラックバック (0)

暗渠マニアック! ここが見どころ読みどころ②

 「暗渠マニアック!」の第3章は「湧水と暗渠」。

川、暗渠の始まりとしての湧水を、吉村と私それぞれの視点で述べていくパートです。
私としては実はこの章がいちばん書き応えがありました。
ブログで断片的に扱ってきた湧水系のものを
ようやく自分なりのやり方で筋を通すことができた、
そんな気持ちです。

吉村はこの章で目黒川の支流暗渠、空川を取り上げ、
持ち前の深堀り力で
そのいくつかの水源である「湧水」のナゾに迫ります。
身内で言うのもなんですが、このお話も
私でさえ初めて知る内容が多くてたいへん面白かったです!

対する私は、都心の湧水ポイントを俯瞰します。
公園なんかで大事にされている有名な湧水ではなく、もっと地味なヤツばっかりを。
そんな、ほんとに湧水かいなと疑うような、
住宅の脇や裏でひっそりと湧いている水を
「わき水(湧き水/脇水)」
とポジショニングし、書き始めました。

そしてそれらを「湧水」と呼んでいいかどうか、
柴田化学製の簡易水質調査キットなどを足掛かりに
推理していくお話です。

あ、ここから先はぜひ本書でw

20150720_005304356_ios_2


*
ところで、今回触れられませんでしたが
執筆後で出会った今日深い話題が一つ。
2月の終わりに神戸に、
文部科学省が主催する「第4回サイエンス・インカレ」を見にいきました。
大学生や高専生の優れた「自由研究」を発表する
理系ヤングw のお祭りみたいなものです。

そこで目にしたのが、東京大学 高野雄紀さんの研究。
見事上位に入賞したこの研究のテーマは、なんと
「東京都区部の湧水量に水道漏水が与える影響」!
この研究が素晴らしかった!

とてもざっくりいうと、
・都心で見られる湧水は、「上水道管からの漏水」がけっこう含まれてるんじゃないか?
・そんな仮説を証明しようと、何年もおとめ山公園の湧水データを取り続け、雨水量や成分などと照らし合わせながら検証し続けている

という内容です。
この仮説を聴いた瞬間にぶっ飛びました。
その発想はなかった…!

あまりに感動したので、表彰式後に高野さんにご挨拶させていただいたほどです。
高野さんの研究テーマはその後読売新聞なんかにも取り上げられ、
最近は地下水学会で共同研究者の方とこんな論文も発表されています。

ちなみに高野さんにお会いした際に
「暗渠はお好きですか」と聞いてみましたが
「いや、そっちはちょっと…」とのことw

次回「わき水」のことを書くときは、
はこんな視点もご紹介していきたいなあ。

*

「暗渠マニアック!」FB特設ページはこちら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

暗渠マニアック! ここが見どころ読みどころ①

先月柏書房から発売の「暗渠マニアック!」、
おかげさまで無事にみなさまに受け入れていただいているようです。
まことにありがとうございます。

7/11はNHK「ブラタモリ」で仙台の代表的な暗渠、
四ツ谷用水を取り上げていましたね。
東京スリバチ学会の皆川会長がたくさん暗渠の話をし、
タモリさんもノリノリでやり取りしていた影響で、
「暗渠」
「暗渠マニア」
「暗渠の交差点」など含めて
その時間は普段の数十倍(もしかしたら数百倍)の暗渠ツイートがあったみたい。

世間的にも暗渠がキテるようです。よね?

まあそんな中、少しでも多くの方に「暗渠マニアック!」に興味を持っていただけるよう、
またすでに「暗渠マニアック!」をお持ちの方は、
さらに再読が愉しくなるよう、
気まぐれに見どころ・読みどころをご紹介していこうとおもいます。

さて今回は「章の扉」のこと。
「暗渠マニアック!」はぜんぶで7つの章から成っていますが、
その各章の扉にはモノクロの暗渠関連の風景写真と
短い「いざないことば」を設けました。
写真は、我々の写真ストックから編集さんとデザイナーさんに選んで頂いたものです。
なんか物によっては、
モノクロになると元の写真よりかっこよくなるんだなあと学びました。

それと、文言。
こちらはもう最後の最後にわっと書いて入稿という感じでした。
けっこうわさわさと。編集さんに手助けいただいて、我々著者と3人でPC上でやり取りして仕上げました。
でも、短時間に作ったのに
火事場の馬鹿力が発揮できたのか、結構いい出来なのではないかと自画自賛…。
とても気に入ってます(私は)。
ちょっとポエム入ってるものもあったりして。
でも扉だし若干ウェットでもいいかと。

写真は第3章「境界と暗渠」の扉。

20150712_023845221_ios

こちらとあちら、世界を二つに分かつ川。

世界は、自己から他者を区別することでできあがる。
土地に水で線を引き、ソトとウチを作りだす川は、世界の創始者といえるのかもしれない。(以下続く)

それと、告知です。
「暗渠マニアック!」共著の吉村生さんが、
大好きな桃園川のほとりにある暗渠カフェ、
その名も「モモガルテン」さんでパネル展を始めます。
このまま一冊の本になるんじゃないかってくらいの濃い内容。
ぜひいらしてください!

以下吉村さんのFB投稿から。
****************
暗渠マニアック!の著者が行うイベントの情報です。
展示「桃園川の記憶」
吉村のもっとも肩入れしている暗渠は桃園川、なのに、桃園川の記述が少ない、と感じた方はいらっしゃるでしょうか。
それは、桃園川と松庵川については一章分ではとても足りないこと、それから、この2暗渠ではまだまだやりたいことがある、と思っていること、が理由です。
やりたいことのひとつ。桃園川に関する地元との相互交流型の展示を、桃園川沿いのカフェモモガルテンさんにて、やらせてもらえることになりました。

会期は7/15-8/30、営業時間や休日はモモガルテンさんのものをご参考に。8/12-19は夏休みだそうです。
中野区部を中心に、流路、ほとりにあったものがたり、謎、むかしの写真などを10数個のパネルにして掲示予定です。暑い時期なので、無理に歩かず脳内暗渠さんぽとしゃれこんでみてはどうでしょう?(カフェなので、なにかご注文はしてくださいね。)
期間限定特別メニューとして、暗渠めし、暗渠ドリンクもつくっていただけます。
暗渠マニアック!、東京暗渠散歩、水路敷Tシャツ、特製桃園川絵葉書も販売いたします。
長くなってしまいましたが、また情報は足してゆきます。ぜひ、桃園川に遊びにいらしてみてください!(よ)
****************

| | コメント (0) | トラックバック (0)

暗渠ハンター 本屋さんの店先で。

発売から10日ほどたって、
都内ではようやく店頭に行きわたってきた感のある「暗渠マニアック!」です。
いや、正直に言うと、「あるところにはある。ないところにはない」状態なのですがw

「あるお店」ではどんな風に売っていただいているか
とても気になるので、
週末はいくつか本屋さんをまわっての現場視察をしております。

そこでまず気づいたのは、
「どの売場に並べるかは本屋さんの考え方次第」
だということ。
特にこの本は、いろんなジャンルのキワに位置するような本なので、
若干扱いづらいのかもしれませんね。
旅行カテゴリーの、特に東京とかの街歩き系に並ぶことが多いようですが、
写真集カテゴリーやサブカルチャーカテゴリーに並ぶケースもあるようです。
これはこれで読者の「新規開拓」にはいいのかもしれませんが、
目的買いでいらしたお客様はちょっと見つけづらいかも…。

というわけで、どうぞ本屋さんでお求めの時は、
思い切って店員さんに
「6/25発売の、柏書房の暗渠マニアックはどこですか」
と聞いちゃうことをお勧めします!

もうひとつ肌身にしみたのは、
店頭で一定程度の陳列スペースを確保するかどうかも、
本屋さん次第、特に本屋さんのご担当者次第なんだなあということ。
まあベストセラーはちょっと置いといて、
こんな海のものとも山のものともわからない新刊本なんかは、
ご担当者さまが興味を持ってくださらないと仕入れもしてくださらないでしょう。
反対に、ご担当者さまが「!」と思えば、
思い切った大量陳列もしてくださいます。
そしてそのご担当者さまに「本の情報を届け、提案する」版元の営業力が、
大きく作用するようです。

版元である柏書房さんのおかげで今回は、
何店かの書店さまで
POPや数枚のパネルをご提供しての大量陳列も実施していただいていますし、
千駄木の往来堂書店さまや船橋近辺のくまさわ書店さまでは
購入者向けの「オリジナル暗渠解説ツアー」キャンペーンも展開させていただきました。
詳しくはこちらをどうぞ。
※往来堂書店さまでの企画は、ご好評いただきすでに締め切らせていただいています。

柏書店の営業さん、すごい!

それにしても、大量陳列されたいくつかの様子をみてると、
やっぱり店頭って、特に書店さんの店頭って、
力のある「メディア」なんだなあって改めて感じます。

20150705_031531462_ios
写真は西荻窪の颯爽堂書店さん。
入口すぐの、話題の本的コーナーに、表紙を見せて陳列をしてくださってます。
柏書房の編集さん手づくりPOP付!
お店の許可を得て撮影させていただきました。

*
さて最後にちょっとほかの本のお知らせも。
実は「暗渠マニアック!」とほとんど同時期に、
お友達の本も発売になっておりました。
ジャンルは全然違うんですけどね。
地形友達のツテでSNSで巡り合ったフードライター、
白央篤司さんの「にっぽんのおにぎり」です。

20150705_071620569_ios

47都道府県をべんきょうしながらその県「じまんのおにぎり」を知っていく、
という絵本(写真ですけどね)みたなかわいい作り。
楽しい本ですよ。
おにぎりの製作は「病気になったバーテンダーの罪ほろぼしレシピ」を書いた
藤村公洋さん。
藤村さんの握ったおにぎりの表情もいいです。
別冊による作り方ワンポイント、みたいなのもついてるから再現も可!

よろしかったらご覧になってみてください。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

暗渠マニアック! マニア以外の方にも。

もう水無月もあとわずか。
しばらく続けてきた #水無月暗渠月キャンペーンもいちおう終了とし、
タイトルもこれまでの「暗渠ハンター」シリーズに戻そうかと思います。
おかげさまで「暗渠マニアック!」の売行きも順調(だといいな)ですが、
実はこの本は暗渠マニアだけでなく、
他の何かのマニアの方々、
あるいはそういうマニアのマニアっぷりを見るのが愉しい、という方々にも
愉しんでいただける、「マニアが、その対象についてどう考えているか」
がわかる本、というつくりにもなっています。

10年以上前に私のそばにダムマニアがいたのですが、
全然ダムに興味がない私でもその方のダム話を聞くのが愉しかった。
「ああなるほどマニアってそういう見方をするんだー!」
という発見がおもしろかった覚えが私自身にもありますし。

ところで。
発売のちょっとまえ、6/13に
全国の「スリバチ学会」主要会員が一堂に会し懇親する、
という盛大な会で、皆様の貴重なお時間を拝借し
新刊のPRタイムを頂くことができました。
今日はそのときのスライドからいくつか抜粋してお話をしましょうね

*************
会場の方々は、東京スリバチ学会はじめ千葉、埼玉、新潟、神戸など
全国のスリバチや高低差を愛する人たちです。
みなさん皆川会長を軸にして集まられた方々。
共通の嗜好としてはやはり「地形」ですよね。
そこにさらに狭いマーケットである「暗渠」の話は、
一部の人にはハマるかもしれないけど、
空振りする可能性も大です。
そこで、プレゼンテーションで使うスライドのタイトルは
「スリバチ本の成功要因と今後の趣味マーケットに関する一考察」
とし、
全員の興味関心事である(たぶん全員持っている)「スリバチ本」の
売れ行きの秘密をさぐる、的な導入にして
自然にニッチな「暗渠」に水を向けるような作りにしました。

下がそのアニメーションの抜粋です。

1

(マイリモコンを持ち込んだので、狭いですが準ディナーショー形式でお話しました)
「今や増刷増刷で大人気のスリバチ本ですが、
もともとは地形好き、地図好きの方々に向けられた本だったのではないでしょうか」

2

「それがここまで売れたのは、
おそらく街を解釈するあらたな文脈として皆に認められ、
すでに成長していた『街あるき』市場や『街まなび』市場に受け入れられた、
からだと思います」
「この市場ってどのくらいのポテンシャルがあるかというと」

3

「ひとつの傍証データがこれ。「ウォーキング」として街あるきを楽しむ人は、
日本で3000万人もいるらしいです」

4
「すると、ゆるい散歩や街まなびなど、その周囲まで含めるとまあざっと
5000万人以上いそうな大市場がここなんです。
その方々にまで受け入れられた、
というのがスリバチ本がブレイクした要因ではないでしょうか」

5
「つまりここ(赤いとこ)に『ホットエリア』があったということですね」

6
(さあ、参加者がうんうんなるほど!なんて思っている間に、
ここから強引に自分の土俵に引き込んじゃいますw
まあ酒の席ですから、いっかい頷かせてしまえばもうこっちのもの!)


「さていっぽうで、地形に限らずいろいろなマニア市場ってありますよね」
「ひとつひとつの市場はとても狭くて小さいのですが、
実はこれらを含む『マニアの面白がり方を面白がる市場』というのが
存在するのです。
これが、マニア同士、またはマニアの外側にまで広がっており、
小さな小さな各マニア市場を一つにくっつける接着剤のようにも機能しているのです」
「この3つの重なったところにやはり『ホットポイント』があるはずです!」

(冷静に考えるともうここではロジックが成り立っていませんw いきおいと言い切りだけの世界です)
(でも会場のみなさんほとんどが何らかのマニアなので、これだけで充分な共感を頂きました!)

7
「その熱い市場に向け正面から問うのがこの、新刊『暗渠マニアック!』。
たいへんお待たせいたしました!」
(いや、だれも待ってなかったと思うんですがねw)

8
(本来のタイトルから離れ離れて、いつの間にかの内容紹介に入ります)
「二人の著者の視点の違いを活かした構成になってまして、
たとえばある章はこんな感じで…」

9
「こんな深掘り×俯瞰のトピックがあるんですよーおもしろそうでしょー」

1_2



「水無月・暗渠月に発売、どーん!」

という具合でした。
(実際のセリフは多少異なります)

というわけで、暗渠マニア以外の方もけっこう楽しんでいただけたようでした。

本の内容も、きっと愉しんでいただけるはず!
どうぞよろしくお願いいたします。

#水無月暗渠月キャンペーン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«暗渠マニアック! 発売にあたって。